3月初旬、春の訪れを感じる東京・御嶽渓谷へ。
お雛様の展示が3月10日までと知り、急ぎ足で向かったひとり旅。
多摩川沿いの美しい自然の中で、日本画や文化財建築に触れながら、お雛様の優雅な世界を楽しむ一日になりました。東京とは思えない自然、静けさと美しさに包まれる御嶽〜青梅の文化散歩、今回はそんな「春を感じる東京発ひとり旅」をご紹介します。
御嶽駅からスタート|まずは玉堂美術館へ
2024年3月。お雛様の展示が3月10日までと聞き、東京・御嶽へひとり旅に出発しました。御嶽駅を降りてまず向かったのは玉堂美術館。近代日本画の巨匠、川合玉堂の作品を中心に収蔵する美術館です。
館内には、四季を描いた繊細な日本画が並び、心が落ち着く空間。特におすすめなのは併設の庭園で、多摩川を望む石組みや苔庭は、思わず息を止めて見入ってしまう美しさでした。
国登録有形文化財「河鹿園」|建物も景色も一枚の絵
玉堂美術館の余韻を楽しんだあと、駅から徒歩1分の場所にある旅館建物室礼美術館 河鹿園へ。元・割烹旅館の建物を活用したこの施設は、国登録有形文化財に指定されています。
特徴はガラスケースのない展示。部屋自体が展示空間となり、窓から見える多摩川の景色も一つの作品です。室礼(しつらえ)に合わせて飾られた季節の花や掛軸が、建物・美術品・自然の三重奏をつくっていました。
御岳渓谷を歩き澤乃井ガーデンでランチ
美術館を巡った後は、御岳渓谷沿いを沢井方面へのんびり散策。春の花々が咲き始めた渓谷の小径は、川のせせらぎと鳥の声が心地よく、歩くだけでリフレッシュできます。
途中で立ち寄った澤乃井ガーデンでは、地元の旬の食材を使ったランチを堪能。景色と食事でエネルギーを補給して、午後の散策へと向かいました。
江戸の名主の家「旧福島家」|お雛様とやまと絵の展示
澤乃井でのランチ後、東京都指定有形文化財である福島家住宅(旧福島家)を訪問。18世紀中期に建てられた名主の住宅で、重厚な建築がそのまま保存されています。
この時期は特別公開で、古今雛、京雛、名古屋雛、東雛といった地域ごとのお雛様が並び、やまと絵や絵手紙とあわせて展示されていました。
展示者の解説を聞きながら見ることで、ひな人形の由来や装飾の違いがよくわかり、学びの多い時間になりました。
青梅・津雲邸へ|時代ごとに並ぶお雛様たち
時間に余裕があったため、電車で青梅へ移動して津雲邸へ。津雲國利が昭和6年〜昭和9年にかけて建造した邸宅で、昭和モダンの建築美とともに展示を楽しめます。
2階には珍しい有識雛や五人楽人も展示されており、時代ごとのお雛様(大正・昭和・平成)や、天皇家ゆかりの貴重な人形も見ることができました。建築の細部に宿るデザインと、お雛様の華やかさが同時に堪能できる場です。
おわりに|静かな文化の時間を味わう東京ひとり旅
御嶽渓谷を歩き、お雛様と日本の美に触れた一日。自然と文化が柔らかく調和する空間で、心が穏やかになるような体験でした。東京近郊で見つけた“静かで学びの多い”場所として、季節を変えてまた訪れたい場所です。

























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