常滑やきもの散歩道を歩く|土管坂・登窯と焼き物の町並み

常滑の土管坂に並ぶ土管と焼酎瓶、ケサワを敷き詰めた坂道 愛知

愛知県常滑市の「やきもの散歩道」には、レンガ造りの煙突や土管を利用した塀、登窯など、焼き物の産地ならではの風景が残っています。

この記事では、実際に歩いて見つけた町並みや、土管坂の路面に使われている「ケサワ」の工夫、登窯(陶榮窯)の構造などを紹介します。


常滑駅から、やきもの散歩道へ

2026年10月8日、愛知県常滑市にあるINAXライブミュージアムを訪れるため、名鉄常滑駅に降り立ちました。

駅からミュージアムへ向かう直通バスは本数が少なく、アクセスを調べているうちに、徒歩で向かえば「やきもの散歩道」の見どころにも立ち寄れることがわかりました。

ただし、INAXライブミュージアムは見学施設が多く、そちらに十分な時間を確保したかったため、散策する場所は、とこにゃん、土管坂、登窯の3か所を中心に絞りました。

駅から歩き始めると、最初に現れたのが「とこなめ招き猫通り」です。 道路沿いの壁には、さまざまな表情や姿をした陶製の招き猫が並んでいました。

さらに進み、巨大招き猫「とこにゃん」を見るために少し寄り道しました。 ところが、橋の上から見えたのは、白いはずのとこにゃんではなく、真っ赤な猫でした。 頭には「Aichi-Nagoya 2026」と書かれた鉢巻きまで巻いています。

手元の散策マップに載っている写真とも違い、場所を間違えたのかと思いました。 しかし、時間も限られていたため、理由がわからないまま写真を撮り、先へ進みました。

後から調べると、2026年の愛知・名古屋アジア競技大会・アジアパラ競技大会に合わせ、期間限定で赤い姿になっていたことがわかりました。

細い路地と坂道に残る、焼き物の町並み

とこにゃんを見た後は、来た道を少し戻り、やきもの散歩道を進みました。

道中には古い木造建物が残り、建物の間を抜ける細い路地や、草木に囲まれた坂道が続きます。 実際に歩いてみると、想像していた以上に道幅が狭く、坂が多いことに気づきました。

そして、歩いていて特に目についたのが、あちこちに残るレンガ造りの煙突です。 大きな工場が集まっているわけでもない町並みの中に、煙突が点在しているのが不思議でした。 かつては、これらの煙突から一斉に煙が上がっていたのでしょうか。

道沿いには黒い板壁の建物も見られました。 歩きながら、窯から出る煙や煤と関係があるのだろうかと考えていました。 後から調べると、常滑の黒い壁には、潮風から建物を守るためにコールタールを塗っていたという背景があることを知りました。

やがて、やきもの散歩道を代表する見どころの一つ「土管坂」に到着しました。

坂の両側には土管や焼酎瓶がびっしりと並び、足元にも焼き物が敷き詰められていました。

散策マップによると、左側の大きな土管は明治10年頃のもので、製造時の木型の跡が残っているそうです。 右側の焼酎瓶は昭和30年代に石炭窯で焼かれたもので、内側には釉薬が施され、実際にお酒を入れて出荷されていました。

足元に敷かれているのは、土管を焼く際に使用した「ケサワ(袈裟輪)」と呼ばれる焼台です。 廃材を再利用し、坂道を滑りにくく、歩きやすくする工夫がされています。

この光景を見て、以前訪れた瀬戸市の「窯垣の小径」を思い出しました。 瀬戸では窯道具を積み上げた塀が印象的でしたが、常滑では土管坂に限らず、散策中のあちこちで焼き物を使った壁や路面を見かけました。

焼き物が単なる装飾ではなく、町の暮らしの中で実用的に使われてきたことも、この坂道からわかります。

さらに歩いていると、草地で一匹の黒いヤギが草を食べていました。 大きく曲がった角を持つヤギで、焼き物の町を散策している途中の思いがけない出会いでした。

登窯(陶榮窯)で、かつての焼き物づくりを知る

続いて、国の重要有形民俗文化財に指定されている登窯(陶榮窯)へ向かいました。

登窯(のぼりがま)とは、斜面を利用し、焼き物を焼く部屋(窯室)を階段状に連ねた窯のことです。

案内板に従って坂道を上がると、木造の屋根に覆われたレンガ造りの窯が現れました。

この登窯は1887年(明治20年)頃に築かれ、1974年(昭和49年)まで使われていました。 約17度の傾斜を利用して8つの窯室が連なり、高さの異なる10本の煙突を備えているのが特徴です。

実際に歩ける範囲を見学すると、レンガを積み上げた窯の壁や、いくつもの開口部が間近に見られました。

現地の「焚き口」の説明板によると、当初は薪や松葉を燃料としていましたが、明治後半には燃料の確保が難しくなり、石炭が使われるようになりました。 それに伴い、焚き口も改良されたそうです。

窯の側面には小さな焚き口が横に並び、焼成のために燃料を投入していた構造を確認できました。

10本の煙突が並ぶ全景は今回の見学では見られませんでしたが、窯本体のレンガ積みや焚き口など、焼き物を焼いていた設備を間近で見学できました。

INAXライブミュージアムへ向かう道と帰り道

登窯を見学した後は、当初の目的地であるINAXライブミュージアムへ向かいました。

やきもの散歩道の細い路地や坂道とは異なり、ここからは比較的普通の道路が続きます。

途中、小学校のグラウンド沿いの低い塀に、小さな焼き物の作品がずらりと並んでいるのを見かけました。 動物など、さまざまな形の作品があり、学校のそばにも焼き物に親しめる風景がありました。

その後、INAXライブミュージアムに到着しました。

見学を終えて常滑駅へ戻る途中には、背の高いレンガ造りの煙突と、アーチ形の開口部が二つ並ぶ古いレンガ造りの建物も見かけました。 名称やかつての用途は確認できませんでしたが、帰り道にも常滑の窯業の歴史を感じさせる風景が残っていました。

常滑のとこなめ招き猫通りに並ぶ陶製の招き猫
愛知・名古屋2026の鉢巻きを巻いた赤い巨大招き猫とこにゃん
愛知・名古屋2026の開催に合わせ、期間限定で赤くなった「とこにゃん」
常滑のやきもの散歩道に残るレンガ造りの煙突と周囲の町並み
常滑のやきもの散歩道にある焼き物を利用した壁と緑に囲まれた細い路地
常滑の土管坂に並ぶ土管と焼酎瓶、ケサワを敷き詰めた坂道
左側に土管、右側に焼酎瓶。路面には滑りにくくするための「ケサワ」が敷かれている
常滑のやきもの散歩道付近で草を食べる大きな角の黒いヤギ
常滑の登窯・陶榮窯のレンガ造りの窯と木造の屋根
常滑の登窯・陶榮窯の側面に横一列に並ぶ焚き口
燃料を投入するための焚き口が横一列に並ぶ
常滑駅への帰り道で見かけた二つのアーチ形開口部を持つレンガ造りの建物

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