東京・駒場公園に佇む、重要文化財・旧前田家本邸。
前田家第16代当主・利為侯爵が建てたこの邸宅は、洋館と和館からなる壮麗な建築です。
今回は午前中に参加した洋館のガイドツアーを中心に、その豪華絢爛な内部と、当時の侯爵家の暮らしが息づく空間をレポートします。
無料とは思えない充実の内容は、まさに“大人のための文化体験”でした。
重要文化財・旧前田家本邸 洋館を訪ねて
東京発のひとり旅で訪れたのは、重要文化財・旧前田家本邸。 駒場公園の一角に佇むこの邸宅は、前田家第16代当主・利為侯爵によって、昭和3年から5年にかけて建てられました。
洋館と和館が渡り廊下で結ばれた構成となっており、今回は午前中に洋館のガイドツアーに参加しました。 10時30分から始まったツアーは、予定を大きく超えて約1時間半。 丁寧で情報量の多い解説に、あっという間に時間が過ぎていきました。 しかも、見学もガイドツアーもすべて無料という贅沢さです。
アクセスと立地|駒場公園の中に佇む洋館
旧前田家本邸は、駒場公園内にあります。 京王井の頭線や小田急線など複数路線からアクセス可能で、私は小田急線・代々木上原駅から徒歩で向かいました。
緑に囲まれた公園の中に、ひっそりと現れる洋館。 都心にいながら、日常から切り離されたような感覚に包まれます。
チューダー様式の大邸宅|地下から最上階まで
洋館はイギリスのチューダー様式を取り入れた、地上2階・地下1階の建物です。 地下には厨房やボイラー室があり、当時としては非常に先進的な全館暖房設備が整えられていました。
1階は賓客をもてなすための空間、2階は家族の居住スペース。 さらにその上の階には洗濯室や乳母が待機していた部屋もあり、昭和初期の侯爵家の暮らしぶりを具体的に想像することができます。
ガイドさんのお話によると、当時この邸宅では6人家族に対して、実に136人もの使用人が仕えていたそうです。 その人数を知ることで、この洋館が単なる豪邸ではなく、ひとつの「小さな社会」として機能していたことが実感されました。
豪奢な室内意匠に目を奪われる
室内は、「東洋一の洋館」と称された理由がよくわかる、豪華で重厚な造り。 各部屋ごとに異なる意匠が施され、寄木細工の床や、繁栄を願う意味を持つアカンサスの葉や花の飾り柱など、細部まで見どころにあふれています。
各室に設けられた暖炉や、天井から吊るされたシャンデリアの多くは、建築当時のまま。 シャンデリアひとつひとつに個性があり、見上げているだけで引き込まれてしまいます。
金唐紙と泰山タイル|昭和初期に受け継がれた美術工芸
現在の1階の壁紙は、建築当時のものではありません。 もともとは金唐紙と呼ばれる、和紙に金属箔を貼り、凹凸のある模様を施した日本の伝統的な壁紙が使われていました。
戦後、GHQ接収後に個人が購入した際、壁紙が暗いという理由ですべて剥がされてしまったそうです。 現在は、書斎の一室のみ当時の金唐紙が復元されています。
また、1階第一応接室のマントルピースには、昭和初期まで広く用いられていた美術工芸品である泰山タイルが使われています。 所々に配された、前田家の家紋・梅鉢紋も印象的でした。
敷地内に残るもうひとつの重要文化財
公園入口近くには、同じく重要文化財に指定されている前田育徳会(尊経閣文庫)があります。 前田家が所蔵していた大名道具類を保存・公開している施設で、所定の手続きを行った人のみが入館できるそうです。
また、敷地内には小さな鳥居もあり、前田神社として祀られているとの説明もありました。
ガイドツアーだからこそ味わえる体験
ガイドさんの説明は非常に丁寧で、内容も濃く、思わずメモを取りながら聞けばよかったと感じるほど。 建物の美しさだけでなく、背景にある時代や人の営みまで知ることができました。
財力を尽くして築かれた豪華な洋館と、昭和初期の侯爵家の暮らし。 「東洋一の洋館」と呼ばれた空間に身を置き、ただただ目の保養となるひとときを過ごしました。
次回は、午後に参加した和館・茶室のガイドツアーについて書きたいと思います。




































訪問日:2026年1月14日(水)
旧前田家本邸・和館の記事はこちら ↓



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