2025年5月、東京都小金井市の「江戸東京たてもの園」を訪れました。
園内には、江戸時代から昭和にかけての歴史的な建物が移築・復元されています。 この日は半日ほどあれば見られるだろうと思っていましたが、昔の商店が並ぶ東ゾーンで建物の中まで一軒ずつ見ていたら、思った以上に時間がかかりました。
銅板で覆われた看板建築、乾物屋や醤油店に残る昔の商品や道具、昭和の銭湯など、建物だけでなく当時の商売や暮らしまで見られるのが面白かったです。
東ゾーンの昔の商店街を歩く
特に時間をかけて歩いたのが、商店や銭湯、居酒屋などが並ぶ東ゾーンです。
建物は外から眺めるだけではなく、内部に入って見学できるものもあります。 店先から中をのぞくと、商品や商売道具まで再現されていて、一軒見ると隣も気になり、なかなか先へ進めませんでした。
銅板で覆われた看板建築「丸二商店」
丸二商店は、昔の荒物屋です。 まず目を引いたのが、緑青色になった銅板で覆われた外観でした。
正面には青海波や網代などさまざまな文様が施され、平らな壁面そのものが装飾になっています。 隣の建物とは外観がまったく違い、東ゾーンを歩いていて特に目に留まった建物の一つです。
店内には鍋や釜など、昔の暮らしで使われていた品々が並んでいました。 外観の装飾を見るだけでなく、中に入ると実際にどんなものを扱っていた店なのかが見えてきます。
縦に長い姿が印象的な大和屋本店
大和屋本店は、1928年(昭和3)に建てられた木造3階建ての乾物屋です。 間口に対して背が高く、周囲の商店と比べても縦にすっと伸びたような独特の姿をしています。
中に入って特に目に留まったのが、ずらりと並んだ鰹節でした。 桶や昔の商品も並び、戦前の乾物屋の店内が再現されています。
外観だけでなく、店内まで見て初めて分かる面白さがありました。
小寺醤油店では昔の量り売りの道具を見る
小寺醤油店は、味噌や醤油、酒類を扱っていた商店です。 店内には瓶が並び、柄杓や漏斗なども残されていました。
今なら容器に入った商品をそのまま買うのが当たり前ですが、こうした道具を見ると、必要な量を量って販売していた頃の店の様子が具体的に想像できます。 瓶や缶、店の奥に並ぶ道具まで眺めていると、ここでもかなり足が止まりました。
看板建築が並ぶ街並みも見どころ
東ゾーンでは、一軒ずつ建物を見るだけでなく、異なる外観の商店が並ぶ街並みそのものも印象に残りました。
洋風の外観が目を引く村上精華堂
周囲の木造商店とは少し違った雰囲気だったのが、化粧品店の村上精華堂です。
白っぽい正面には柱や装飾が並び、一見すると商店とは思えない洋風の外観です。 正面には人造石洗い出しでイオニア式の柱が表現されていて、昭和初期としてはモダンな造りだったそうです。
木造の商店が続く中にこうした建物が現れるので、同じ通りを歩いていても外観が次々と変わります。
武居三省堂と花市生花店
並んで建つ武居三省堂と花市生花店も、どちらも昭和初期の看板建築です。
花市生花店では、建物からちょこんと突き出した「FLORIST 花市」の看板が目に留まりました。 隣の武居三省堂は明治初期に創業した文具店で、もともとは書道用品の卸をしていた店です。
店内には筆や墨などが並んでいて、私は建物を見るより先に墨の方が気になってしまいました。 外観だけを見て歩くのとは違い、店内まで入るとそれぞれの建物が何の店だったのかも分かってきます。
和傘問屋や旅館、居酒屋の中へ
さらに歩くと、和傘問屋の川野商店がありました。
店内には色鮮やかな和傘が並び、かつての店先の様子が再現されています。
私は金沢で職人が作る和傘を購入したことがあるので、昔の和傘を扱う店がどんな造りだったのか気になり、店の中をじっくり見ました。
商品だけでなく、その品物がどんな店で売られていたのかまで見られるのも、江戸東京たてもの園の面白いところでした。
また、万徳旅館では昔の旅館の室内を見ることができました。
万徳旅館は青梅街道沿いにあった旅館で、建物は創建当初に近い姿、室内は1950年(昭和25)頃の営業時の様子が復元されています。
外から見るだけでは分からない奥行きがあり、建物の中へ入って部屋が続く様子を見ることができます。
居酒屋「鍵屋」の内部には酒瓶や食器などが並び、昔の店内の様子が再現されていました。 外観はそれほど大きな建物ではありませんが、中に入るとカウンターや棚に囲まれた居酒屋らしい空間が残っています。
子宝湯|脱衣所から浴室まで残る昭和の銭湯
東ゾーンで特に長く見ていたのが「子宝湯」です。 1929年(昭和4)に建てられた銭湯で、大きな唐破風の玄関がまず目に入ります。
中へ入ると、男女に分かれた脱衣所があり、木製の脱衣籠や体重計、入浴料金の表示、壁に並んだ昔の広告などが残されています。 私自身も昔の銭湯を思い出すものが多く、ここでは写真を何枚も撮っていました。
浴室には大きな壁画があり、タイル張りの浴槽や壁面の絵も見ることができます。 外観だけを見たときよりも、中へ入った方が昔の銭湯の記憶につながるものが多くありました。
見学していると、親子で訪れていた方が壁の広告を見ながら「あそこだね」「懐かしいね」と話していました。 その会話を聞いて、ここに並んでいるものは単に昔風に作られた展示ではなく、実際に東京の町にあり、人が利用していた建物なのだと改めて実感しました。
万世橋交番や都電7500形も園内に
商店や住宅だけでなく、園内には万世橋交番や都電7500形なども保存されています。 小さな交番や黄色い都電が途中に現れ、東ゾーンでは建物だけでなく、昔の東京の街にあったさまざまなものを見ることができました。
半日の予定では時間が足りなかった
この日は半日ほどを予定していましたが、東ゾーンの商店に入り、店内の商品や道具まで見ているうちにかなり時間が経っていました。
その後、別のゾーンにも足を延ばしましたが、洋館や昔の住宅、日本家屋など、まだ見たい建物がいくつも残ったまま時間切れになりました。
外観を中心に見て歩くなら回り方も変わりますが、建物の内部まで一軒ずつ見たい場合、半日ではかなり慌ただしくなります。 私のように店内の鰹節や墨、昔の広告まで気になって足が止まると、なおさらです。
江戸東京たてもの園へのアクセス
江戸東京たてもの園は、東京都小金井市の都立小金井公園内にあります。
JR中央線の武蔵小金井駅からバスを利用できます。私は公共交通機関を利用して訪れました。
開園時間や休園日、入園料、最寄駅からのバスなどは変更される場合があるため、訪問前に公式サイトで最新情報を確認するのがおすすめです。

銅板には青海波や網代など、さまざまな文様が施されています。

小寺醤油店の店内(上)と、丸二商店に並ぶ生活用品(下)




男女の脱衣所を分ける中央の壁には絵が描かれています。
子宝湯の浴室。富士山などを描いた壁画やタイル絵が残されています。🏛 東京で歴史ある建物を訪ねる
東京には、建物の内部まで見学できる歴史的建築が各地に残っています。
洋館や近代建築など、それぞれ異なる時代の建物を訪ねました。


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