オルゴールの音色に包まれて ─ 下諏訪「すわのね」で感じた優しい時間

春宮から秋宮へと歩いたあと、もうひとつ訪れたかった場所がありました。
それは、地図の片隅で見つけた「ニデックオルゴール記念館すわのね」。
諏訪の町に響くオルゴールの音に誘われるように、静かな午後のひとときを過ごしました。

秋宮を後にして、”しもすわ99分のまちあるきマップ”を眺めながら向かったのは、「ニデックオルゴール記念館すわのね」。
マップを見たときから気になっていた場所で、次の電車までの限られた時間の中でも、どうしても立ち寄りたかった場所でした。

入口をくぐると、館内にはオルゴールのやさしい音色が流れ、時間の流れが少しゆるやかになるような空気に包まれます。
ちょうど「2階でガイドツアーを行います」と案内があり、1階の売店を横目に2階へ。そこでは、いくつかのオルゴールを奏でてくれ、担当の方がその仕組みや歴史を丁寧に説明してくれました。

手回しオルゴールの体験では、自分の手でリズミカルに回して音を出すのですが、これが意外と難しい。それでも、かすかに響く音の重なりがなんとも愛おしく感じました。
ツアーの途中で「オルゴールはどこの言葉でしょう？」というクイズが出され、皆が外国を思い浮かべる中、答えはまさかの“日本”。
江戸時代にオランダから伝わった自動演奏装置「オルゲル（オルガンの意味）」が、いつしか“オルゴール”と呼ばれるようになったのだそうです。
英語では“ミュージックボックス”ということもあり、その由来に思わず頷きました。

ツアー後は、電車の時間の関係で1階の売店をゆっくり見ることはできませんでしたが、オルゴールの組み立て体験もできるようで、次に訪れるときはぜひ挑戦してみたいと思いました。

駅に戻ると、改札口には春宮近くで出会った万治の石仏のレプリカが鎮座し、ホームには御柱祭の説明と展示が。
諏訪という町全体が、音と信仰、そして人の温もりでつながっている──そんなことを感じながら、次の目的地・上諏訪駅へと向かいました。