金沢滞在中に足をのばして訪れた和倉温泉。
温泉街の静けさと、白巖山青林寺に残る格式ある「御便殿(ごべんでん)」の佇まいが心に残りました。海と空の青が広がる港町を歩きながら、日常を離れてゆったりとした時間を味わう──
そんなひとり旅の記録です。
2023年9月、金沢滞在中に和倉温泉の散策に出かけました。
金沢駅からはローカル電車でも行けますが、この日は 特急「能登かがり火」で和倉温泉駅へ。
運転日が限られていますが、観光列車「花のれん」も走っています。
今回の旅の目的は、**白巖山曹洞宗青林寺にある「青林寺客殿(御便殿)」**を訪ねること。
なんと、日本で現存する御便殿はわずか2つしかないそうです。
御便殿とは、皇室が地方を訪れた際に休憩所として使われた建物で、通常は行幸の後に取り壊されてしまうのだとか。
この青林寺の御便殿は、明治42年(1909年)に当時の皇太子・大正天皇が七尾市・和倉温泉を訪問した際の休憩所として建設されたもの。
建物全体には木曽御用林の檜材が使われ、「御座所」の内部には格式高い折上げ格天井が施されています。和風建築でありながら構造には「洋風トラスト」が取り入れられており、和と洋の美が調和した貴重な建築です。
2017年10月には国の登録有形文化財に指定されています。
お寺の方から「ぜひ撮影を」と勧められ、御便殿と庭が一体になって映る“リフレクション写真”を撮影。静かな空間に映り込む緑と建物の美しさに見惚れてしまいました。
その後、お寺の裏側の坂道を登ると鐘があり、そこからは海が見渡せる気持ちのよい場所。
潮風と木々の香りを感じながら、しばらく心を落ち着けて過ごしました。
参拝を終えた後は、和倉温泉街を散策。
老舗旅館「加賀屋」さんをはじめ、風情ある温泉街を歩き、湯元の広場や和倉港、和倉湾を望む海辺まで足をのばしました。
青空の下、波がきらめく海を眺めながら、「レンタサイクルで走るのも気持ちよさそうだな」と思いつつ、再び金沢へ。
静かな海と歴史ある建築、そして穏やかな時間が流れる和倉温泉。
一人で歩くからこそ感じられる、ゆるやかな癒しの旅でした。






























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