敦賀「中池見湿地」を歩く|新幹線駅近くに残る日本の原風景

北陸

金沢滞在中に足をのばして訪れたのは、福井県敦賀市にある中池見湿地(なかいけみしっち)。敦賀駅からそう遠くない場所にありながら、そこには昔話の世界のような懐かしい風景が広がっていました。ラムサール条約登録湿地でもあるこの場所を、ひとりでゆっくり歩いた日の記録です。


金沢滞在中に足をのばして訪れた中池見湿地

2023年9月下旬の金沢滞在中、ふと自然の中を歩きたくなって調べていたときに知ったのが、福井県敦賀市にある中池見湿地でした。
せっかく敦賀まで行くなら市内も歩いてみようと思い、町なかを散策したあとに訪れることに。
JR敦賀駅からは約2kmで、徒歩なら30分ほど。予約制のコミュニティバスを利用すれば、最寄りから徒歩10分ほどで到着します。

入り口から見えた、隠れ里のような風景

中池見湿地へは、藤ヶ丘駐車場の左脇にある道から向かいました。
途中には高低差100m以上ある階段が続き、緑に囲まれた道を少しずつ登っていきます。駐車場にはトイレもありました。

駅からそれほど離れていない場所なのに、想像していた以上に広く、そして静かでした。
入り口から階段を上りきった先に広がっていたのは、まるで隠れ里にたどり着いたかのような懐かしい風景
人の気配がほとんどなく、風に揺れる草の音だけが静かに聞こえていました。思わず足を止めて見入ってしまったのを覚えています。

木道と外周路を歩きながら湿地の豊かさを感じる

木のぬくもりを感じるビジターセンターがあり、休憩しながら散策できるのも中池見湿地のよいところです。
周辺には木道や散策路が整備されていて、ゆっくり歩きながら自然を楽しむことができました。

訪れたのは9月下旬でしたが、まだ暑さが残る時期でした。ビジターセンターの方が、来園者が熱中症にならないか時折気にかけて見渡していたのも印象に残っています。
湿地は広く、日陰になる場所もあまり多くないため、散策の際は帽子と飲み物を持って行くのがおすすめです。

木道だけなら1時間もかからず歩けますが、外周路も含めて端から端まで歩くと1時間以上かかりました。
湿地ならではのぬかるみや、水が上がってきている場所もあったので、歩きやすい靴で訪れるのが安心だと思います。

ラムサール条約湿地として守られてきた自然

中池見湿地は、2012年にラムサール条約湿地に登録された、面積約25ヘクタールの小さな内陸湿地です。
三つの低山に囲まれた地形の中にあり、市街地から近いにもかかわらず、水生昆虫や湿地特有の植物が豊かに残されています。

トンボやオタマジャクシなど、どこか昭和の記憶を思わせる生き物たちの姿が見られるだけでなく、60種以上の絶滅危惧種を含む約4,000種の動植物が確認されていると知り、その豊かさに驚きました。

木道を歩いたあとに外周路へ出ると、秋の風が吹くたびに草が揺れ、水面がきらりと光ります。
その風景があまりにきれいで、何度も立ち止まりながら歩きました。季節が変われば、またまったく違う表情を見せてくれるのだろうと思います。

茅葺き農家に残る、かつての暮らしの気配

敷地内には、敦賀市内に現存していた築約100年の茅葺き農家を移築した建物もあります。
中には、かつて中池見で使われていた田舟や田下駄、鍬などの農具が展示されていて、この土地で営まれてきた暮らしを感じることができました。

思っていた以上に大きな建物で、内部の展示も丁寧に整えられており、人と自然が寄り添って生きてきた時間が静かに伝わってきます。
日本昔話の絵本に出てきそうな光景に、ただただ心が和みました。

新幹線の高架と湿地の風景が並ぶ場所

中池見湿地の近くには北陸新幹線の高架橋も通っていて、昔ながらの自然の風景と現代の交通インフラが隣り合う、不思議な光景が広がっていました。

今回の新幹線トンネル建設では、中池見湿地そのものへの影響は環境に配慮したルートによって回避されたそうです。そこには、地元の方々の湿地への愛着や、この風景を守りたいという思いがあったのだとビジターセンターで知りました。

一方で、「後谷(うしろだに)」と呼ばれる別の湿地環境には影響が出ているという話もあり、自然を守ることの難しさや、人の営みとのバランスについて考えさせられました。

敦賀の町なかから少し足をのばして出会えた静かな時間

緑に包まれた風景の中を歩いていると、時間が少しゆっくり流れているように感じられました。
耳に届くのは、鳥の声や風の音、水の気配ばかり。ひとり旅だからこそ、そうした小さな音や空気の変化をゆっくり味わえたのだと思います。

とても丁寧に整備されていて、敦賀駅の近くにこれほど豊かな自然が残っていることにも驚きました。
もっと知られていてもよさそうなのに、どこかひっそりとしているところにも、この場所らしい魅力があるのかもしれません。

敦賀市内を歩いた一日の中でも、中池見湿地で過ごした時間はとくに心に残るひとときになりました。

中池見湿地へのアクセス

  • バス:JR敦賀駅 → 東郷線(要予約) 約9~13分
  • 徒歩:敦賀駅から約30分
敦賀駅から向かう場合は、小牧かまぼこ直営店近くを通るルートで向かいました。
敦賀港方面から国道476号を通るルートは、交通量の多いトンネルがあるため、徒歩では避けた方がよいと感じました。

利用案内

開園時間:9:00〜16:30
休園日:毎週月曜日(休日の場合は翌日)、休日の翌日(土曜・日曜・休日の場合は開園)、12月29日〜1月3日
※12月から翌年2月まではビジターセンター休館


📖 敦賀で過ごした一日の記録

この日は、敦賀の町を歩いたあとに中池見湿地を訪れ、さらに本に囲まれる静かな場所へと足をのばしました。
港町の風景と自然、そして室内で過ごす時間へ。どこもそれぞれに、静かな空気が流れていました。

港町の風景の中を歩いた散策の記録
本に囲まれて過ごす、静かな時間の記録

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