春宮を後にし、地図を片手に再び、歩き出した下諏訪の町。
秋のやわらかな光の中、諏訪湖のきらめきや古い街道の面影に出会いながら、秋宮へと向かいます。
諏訪大社下社・春宮を後にして、秋宮を目指しながら下諏訪の町を散策します。
途中、諏訪湖の絶景ポイントで立ち止まり、湖面を渡る風を感じながら写真を撮影。携帯の望遠では見たままの迫力を残せませんでしたが、目に焼きついたその光景は何よりの記憶となりました。
道を進むと「竜の口」と、そのすぐ上にある「矢除石(やよけいし)」が現れます。
武田信玄が弓の名手に矢を射させたものの、すべての矢が跳ね返り、僧に当たらなかったという伝説の石。小さな史跡に込められた物語に、戦国の息づかいを感じました。
さらに歩くと、歴史的な町屋「伏見屋邸」が。戸口が開いていて、風に揺れる金魚のモビールが目に入りました。リボンで作られた金魚がひらひらと泳ぐ姿が涼やかで、思わず足を止めます。
お話を聞くと、夏に訪れた人へ涼を届けたいという気持ちから飾っているとのこと。旅の途中で出会う、そんな心遣いがうれしくなります。
さらに進むと、小さな神田を祀る「御作田社(みつくりたしゃ)」があり、6月末に田植え、8月に刈り取る習わしが伝わっているとのこと。そこから七曜星社蔵の前を通り過ぎたところで、今歩いている道が「中山道」だと気づきました。
徳川家康が整えた五街道のひとつ。宿場町として栄えた名残が今も残り、旅館や温泉の建物から、往時の風情が漂います。
やがて「本陣 岩波家」を横目に見ながら進むと、甲州道中との分岐点に「諏訪大社下社 秋宮」が姿を現します。
幣拝殿の右には「天覧の白松(三葉の松)」があり、三本つながった葉を見つけると金運が上がるとか。ツアー客が夢中で探していて、私もつい一緒に探してしまいましたが、この日は見つからず……次の楽しみに取っておくことにしました。
青銅製では日本最大といわれる狛犬を従えた神楽殿は、立川流の見事な彫刻が施され、春宮に劣らぬ迫力。
しめ縄もさらに太く感じられ、両宮が互いに技を競い合うように建てられたという話にも納得です。春宮が大隅流、秋宮が立川流──二つの匠の技が、今も静かに輝きを放っていました。






































訪問日:2025年9月30日(火)
🌸 この旅のシリーズ
- ▷ 万治の石仏へ導かれて ─ 下諏訪の町歩きと春宮参拝のひととき
- ▷ 春宮から秋宮へ。歴史と風が交わる下諏訪の道
- ▷ オルゴールの音色に包まれて ─ 下諏訪「すわのね」で感じた優しい時間
- ▷ 偶然が導いた場所、北澤美術館へ ─ 上諏訪の午後散歩
👉 シリーズまとめページはこちら:風と音色に導かれて ─ 下諏訪から上諏訪への道


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