冬の一関・平泉を観光する場合、気になるのが観光地を結ぶ交通手段です。 季節運行のバスが終了していたため、今回は観光タクシーを利用して主要な寺院や景勝地を巡りました。
この記事では、金色堂や浄土庭園などの見学体験に加え、実際に巡ったルート、冬の交通事情、一関名物の餅料理や市街地散策の様子を紹介します。
「どこかにビューーン」で一ノ関駅へ|冬の観光に選んだ移動手段
2024年12月9日、JR東日本の「どこかにビューーン」を利用して、岩手県の一関・平泉を日帰りで訪れました。 東京駅を朝6時4分に出発し、東北新幹線で一ノ関駅へ向かいました。
今回訪れたかったのは、中尊寺、毛越寺、達谷窟毘沙門堂、厳美渓の4か所です。
平泉には主要な観光地を巡る巡回バス「るんるん」がありますが、訪問した2024年は11月末で季節運行を終えていました。 そこで利用したのが、JR東日本の観光タクシープラン「駅から観タクン」です。
当時は一ノ関駅から4か所を巡るコースがあり、限られた時間で観光できることから選びました。
12月の岩手ということで雪も心配していましたが、この日はおおむね晴天に恵まれました。 ただし、寺院の境内などには雪が残っていました。
なお、ここで紹介する「駅から観タクン」は2024年12月当時の利用体験です。
中尊寺|金色堂と本堂を巡る冬の境内
最初に訪れたのは、世界遺産「平泉」の構成資産の一つ、中尊寺です。
訪れる前は、中尊寺といえば金色堂という認識で、境内にこれほど多くのお堂があるとは知りませんでした。
中尊寺の表参道「月見坂」は勾配のある坂道です。 タクシーの運転手さんが「坂がきついから」と境内の上の方で降ろしてくれたため、金色堂のある側から本堂方面へ、坂を下りながら見学しました。 運転手さんは下で待っていてくれました。
金色堂で驚いた約900年前の装飾技術
中尊寺で最も楽しみにしていたのが、金色堂です。
奥州藤原氏の初代・藤原清衡によって1124年に建立された金色堂は、建物の内外に金箔が施され、螺鈿や蒔絵などの装飾が用いられています。 現在は覆堂の内部で保護されており、外から金色堂そのものを見ることはできません。
覆堂の中に入り、実際の金色堂を拝観しました。
金箔に覆われた建物も見事でしたが、特に驚いたのは細部に施された繊細な装飾です。 約900年前に、これほど精巧なものが作られていたことに驚きました。
見学しながら、かつては金色堂が覆堂に囲まれず、外から輝く姿が見えたという話を思い出しました。 金色堂は建立後、鎌倉時代には保護のための覆堂が建てられ、現在は新しい覆堂の内部に安置されています。
訪れた2024年は金色堂建立900年にあたり、境内には金色堂の写真を使った記念撮影スポットが設けられていました。
金色堂の内部は撮影禁止です。 この写真を見ると、先ほど拝観した金色堂の姿を思い出すことができました。
白山神社と能舞台|金色堂のさらに奥へ
金色堂を見学した後は、さらに奥にある白山神社と能舞台へ向かいました。
白山神社の能舞台は、金色堂から本堂へ向かう道とは別の方向にあります。見落として帰ってしまう人もいるそうで、タクシーの運転手さんから、ここも忘れずに見てくるよう教えてもらいました。
白山神社の能舞台は、現在も能が奉納されている国の重要文化財です。 金色堂のさらに奥に、このような能舞台があるとは知りませんでした。
訪れた日は足元に雪が残っていたため、滑らないように気をつけながら歩きました。
峯薬師堂で見つけた「め」の絵馬
境内を歩いていると、「め」と大きく書かれた絵馬が目に入りました。
「め? 何だろう?」と気になって近づいてみると、峯薬師堂に奉納された絵馬でした。
峯薬師堂は目の健康や病気平癒を願う信仰でも知られています。 事前には知らなかったため、特に印象に残りました。
金色堂とは別に本堂があることも初めて知った
坂を下っていくと、中尊寺の本堂がありました。
訪れる前は中尊寺といえば金色堂という認識だったので、金色堂とは別に本堂があることも、このとき初めて知りました。
境内には大日堂などのお堂も点在しており、金色堂だけではない中尊寺の広がりを知ることができました。
12月の境内には雪が残る場所もあり、冬の景色の中を歩きながら参拝しました。
毛越寺|大泉が池を一周して浄土庭園を歩く
中尊寺に続いて訪れたのは、同じく世界遺産「平泉」の構成資産である毛越寺です。
毛越寺へ向かう途中、タクシーの運転手さんから「本堂よりも庭園をよく見た方がいい」と勧められました。
毛越寺の境内は国の特別史跡、庭園は国の特別名勝に指定されており、二つの指定を受けているのは珍しいことだと教えてもらいました。
お寺を訪れるのに、建物より庭園や池を見るのだろうかと、そのときは少し不思議に思いました。
本堂を参拝して大泉が池へ
毛越寺は、奥州藤原氏の二代・基衡から三代・秀衡の時代に多くの伽藍が整備された寺院です。 かつての建物は度重なる災禍で失われ、現在の本堂は1989年に建立されました。
本堂を参拝した後、境内に広がる大泉が池へ向かいました。
実際に見ると、池は想像していた以上に大きく、美しい庭園が広がっていました。
極楽浄土を表現した平安時代の庭園
大泉が池を中心とする浄土庭園は、仏教の浄土思想に基づき、仏の世界を地上に表現しようとしたものです。
池の岸辺には、海岸を思わせる州浜や、自然の景色を表現した石組みなどが配置されています。
この庭園には平安時代の造形が残されており、発掘調査に基づいて修復・復元が行われています。
現在の庭園が、古い遺構を基に修復・復元された姿だと知ったことも印象に残りました。
池を一周して常行堂などを見学
大泉が池は思っていた以上に広かったのですが、今回は池の周囲を一周しました。
12月の庭園は木々の葉が落ち、池の周囲には冬の景色が広がっていました。
途中では、茅葺き屋根が特徴的な常行堂などの建物も見ることができました。
訪れる前は、お寺で庭園をじっくり見ることになるとは思っていませんでした。 しかし、実際に歩いてみると、運転手さんが庭園を勧めてくれた理由がわかるような気がしました。
達谷窟毘沙門堂|岩壁に建つ朱塗りのお堂と岩面大仏
毛越寺の次に訪れたのは、平泉町にある達谷窟毘沙門堂です。
大きな岩壁を背にして朱塗りのお堂が建つ、独特の景観で知られています。
岩壁に建つ毘沙門堂
境内を歩くと、巨大な岩壁に寄り添うように建つ朱塗りの毘沙門堂が見えてきました。
岩壁全体を眺めていると、以前訪れた千葉県館山市の崖観音を思い出しました。 どちらも岩壁を利用してお堂が建てられており、一般的な寺院とは異なる景観が印象的です。
運転手さんに教えてもらった岩面大仏
タクシーの運転手さんから、岩壁に彫られた仏様の顔も見るように教えてもらっていました。
毘沙門堂の近くにある岩面大仏は、岩壁そのものに仏の顔が刻まれたものです。
朱塗りのお堂に目を奪われがちですが、岩面大仏も達谷窟で見逃せない見どころでした。
厳美渓|奇岩の間を流れる磐井川と冬の景色
達谷窟毘沙門堂に続いて訪れたのは、岩手県一関市の厳美渓です。
厳美渓は、磐井川の流れによって長い年月をかけて形成された渓谷で、川沿いにはさまざまな形の岩が連なっています。
奇岩の間を流れる磐井川
渓谷では、大きな岩の間を水が勢いよく流れる景色を見ることができました。
岩の形もさまざまで、川の流れによって削られてきたことがうかがえます。
12月の訪問でしたが、この日は天候に恵まれ、冬の厳美渓を見学できました。
名物「郭公だんご(空飛ぶ団子)」は冬季休業
厳美渓には、「空飛ぶ団子」として知られる名物の郭公だんごがあります。
渓谷沿いの東屋で代金を籠に入れ、木槌で合図すると、籠が対岸の店へ引き上げられ、お茶と団子が届けられる仕組みです。
タクシーの運転手さんもこの仕組みを説明してくれましたが、「もうやっていないんじゃないかな」と話していました。
郭公だんごは12月から冬季休業に入るため、訪れた2024年12月9日は営業しておらず、実際に籠が行き来する様子を見ることはできませんでした。
世嬉の一酒造で一関名物の餅料理|手延べはっと・もち膳
厳美渓で観光タクシーの周遊コースは終了しました。
通常は一ノ関駅まで戻るところですが、昼食に世嬉の一酒造へ行く予定だと運転手さんに話すと、「駅より手前だから、そこで降ろしてあげる」と言ってくれました。
おかげで駅まで戻ることなく、世嬉の一酒造でタクシーを降りることができました。
世嬉の一酒造の敷地内には歴史を感じさせる建物が並び、石造りの建物も目を引きました。 食事はその石造りの建物とは別の建物でいただきました。
4種類の餅とはっとを味わえる昼食
一関は、さまざまな餅料理を食べる文化が根付く地域です。
昼食に選んだのは「手延べはっと・もち膳」。
メニューには9種類の餅を楽しめる料理もありましたが、9種類も食べられるか少し心配でした。 それに、一関の郷土料理「はっと」も食べてみたかったので、4種類の餅とはっとを組み合わせた膳にしました。
はっとは、小麦粉を練った生地を薄く延ばして調理する郷土料理です。
膳には4種類の餅料理のほか、野菜を使った料理や甘酢大根も添えられていました。
驚くほど柔らかかった一関のお餅
食べて特に驚いたのは、お餅の柔らかさでした。
とても柔らかく、食べやすいお餅で、4種類ともおいしくいただきました。
はっとも味わえましたが、特に印象に残ったのはお餅の方です。
あまりにおいしかったので持ち帰りができないか尋ねましたが、時間がたつと硬くなるため、持ち帰りは扱っていないとのことでした。
このお餅のおいしさが忘れられず、後で市街地の別のお店でも餅料理を食べることになりました。
一関市街を散策|大福屋・浦しま公園・旧沼田家武家住宅
世嬉の一酒造で昼食を済ませた後は、一ノ関駅方面へ市街地を歩きました。
大福屋でもう一度、一関のお餅を
世嬉の一酒造で食べたお餅があまりにもおいしかったので、市街地にある大福屋にも立ち寄りました。
もう一度一関のお餅を食べたかったのですが、思っていた以上に量が多く、食べ終える頃にはお腹が苦しくなるほど満腹になってしまいました。
このままでは新幹線に乗るのもつらそうだったので、少し歩いてお腹を落ち着かせることにしました。
浦しま公園で見かけたカリンの実
市街地を歩く途中、浦しま公園に立ち寄りました。
公園ではカリンの実がなっているのを見かけました。
旧沼田家武家住宅は月曜日で休館
さらに歩いて、旧沼田家武家住宅へ向かいました。
一関市に残る武家住宅ですが、訪れたのは月曜日。 せっかく足を運んだものの休館日で、内部を見学することはできませんでした。
外観を見た後、一ノ関駅へ向かいました。
一関図書館の隣に保存されているC58蒸気機関車
旧沼田家武家住宅から一ノ関駅へ向かう途中、一関図書館の隣に保存されている蒸気機関車「C58 103」を見かけました。
この機関車は1938年に製造され、かつて大船渡線などで活躍したものです。 現在は屋根のある場所で静態保存されています。
蒸気機関車を見た後は、一ノ関駅へ戻り、帰りの新幹線に乗りました。
冬の一関・平泉観光|実際の周遊ルートと交通手段の注意点
今回の日帰り旅行では、一ノ関駅を起点に観光タクシーで平泉と厳美渓を巡り、その後は一関市街を徒歩で散策しました。
観光タクシーで巡った4か所
観光タクシーで巡った順番は、中尊寺、毛越寺、達谷窟毘沙門堂、厳美渓です。
訪問した12月は、平泉の季節運行バス「るんるん」が運行を終えていたため、限られた時間で4か所を回れる観光タクシーが便利でした。
また、運転手さんが各所の見どころを教えてくれたことも、今回の観光で印象に残っています。 事前には知らなかった場所や見どころにも気づくことができました。
世嬉の一酒造から一ノ関駅までは徒歩で散策
観光タクシーは通常、一ノ関駅まで戻るコースでしたが、今回は運転手さんのご厚意で、帰路の途中にある世嬉の一酒造で降ろしてもらいました。
これは今回の運転手さんのご厚意によるもので、観光タクシーの通常サービスとして保証されるものではありません。
その後は、大福屋、浦しま公園、旧沼田家武家住宅、一関図書館近くのC58蒸気機関車を経て、一ノ関駅まで歩きました。
現在の地図で主な経由地を結ぶと、徒歩約1.8km、25分ほどのルートです。 ただし、これは地図上の目安で、実際には食事や立ち寄りの時間も必要です。
冬の観光では運行期間や休業日に注意
今回の訪問では天候に恵まれましたが、中尊寺の境内などには雪が残っていました。
また、平泉の季節運行バスや厳美渓の郭公だんごのように、冬季は運行・営業していないものもあります。
冬に一関・平泉を巡る場合は、交通手段の運行期間や訪問先の営業日を事前に確認しておくと安心です。
今回は観光タクシーを利用したことで、冬でも4か所を巡り、その後は一関市街の散策と郷土料理も楽しむことができました。



















⛩ 東北の寺院を巡る
一関・平泉の寺院を巡った今回の旅に関連して、山形県の山寺(立石寺)を訪れた記事も紹介します。 冬の雪景色と秋の紅葉、それぞれ異なる季節に石段を登り、境内を歩いた記録です。


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