日本海側の晴れ間は、冬になると特別なもの。翌日が快晴という予報を聞いて遠出は迷ったものの、以前出会った方に聞いた「笠島駅」の話が頭から離れず、思い切って向かうことにしました。柏崎市にある無人駅・笠島駅は、小学生たちの手でリノベーションされ、海を眺めながらのんびり過ごせると聞いていた場所。海に浮かぶような弁天岩の鳥居にも惹かれ、この日、私は日本海の静かな駅へとひとり旅に出ました。
冬の晴れ間を逃さず、東京から日本海へひとり旅
翌日の天気予報は快晴。ただ、その翌日からは仕事が始まるため「遠出はどうしよう…」と迷いながらも、先日柏崎で出会った方が話していた
JR信越本線「笠島駅」のことが気になっていました。
冬の日本海側は晴れる日が少なく、空も海も鉛色になりがち。
「ならば、晴れるこの日を逃す理由はない!」と気持ちを決め、11月30日、笠島へ向かいました。
無人駅・笠島駅に到着。リノベーションされた駅舎で海を眺める
笠島駅に降り立ったのは私ひとり。駅前では、近所の女の子がシャボン玉で遊び、おじいちゃんと笑っている穏やかな光景が広がっていました。
笠島駅は、新潟工科大学・米山小学校・JR東日本新潟支社が合同でリノベーションした無人駅。
待合室には海にまつわる可愛らしい絵が描かれ、窓はまるで“額縁のように海を切り取る”デザイン。天候に関係なく海を眺めて過ごせる、温かい空間に仕上がっていました。
金・土・日だけ開く「海辺のキッチン倶楽部 もく」
駅から少し歩くと、週末だけ営業する蔵カフェ 「海辺のキッチン倶楽部 もく」がありました。店名の“もく”は、アカモクなどの海藻の総称。笠島は海藻の町として知られ、ここでは地元で採れた海藻や魚を使った料理が味わえるとのこと。
明治時代に建てられた築118年の蔵をそのまま使ったカフェは7席のみ。
「笠島満喫ランチ」は予約制とのことで、訪れる際は予約がおすすめです。
海に浮かぶ鳥居「弁天岩」へ
海辺へと歩いていくと、駅から見えていた神秘的な岩が間近に現れます。
その岩は「弁天岩」と呼ばれ、豊漁と海上安全を祈る場所の様。鳥居の奥には小さな祠が祀られています。
車窓から見た景色が目の前に広がると、一気にテンションが上がりました。
坂の上から眺める漁港と弁天岩
海辺から坂を上がると、笠島の漁港や弁天岩を一望できます。視界のすべてが青く、静かで、まるで時間がゆっくり流れていくよう。
現在の鉄道トンネルの隣に、赤煉瓦を積んだ古いトンネルの入口も見えました。しかし、海沿いの歩道には崩落箇所があり、通行止めで近づくことはできず。少し残念でしたが、また訪れたい理由がひとつ増えた気がします。
青空と静かな海に癒されたひとりの時間
この日は風もなく、波も穏やか。青い空と海、そして弁天岩の鳥居。それらを見ているだけで心が整っていくようでした。 本当は夕日まで眺めていたかったのですが、翌日から仕事が始まるため後ろ髪を引かれつつ帰路に。
駅舎に込められた子どもたちの想い
電車を待つ間、駅舎のパネル「米山小学校の想いをここに」が目に入りました。
このリノベーションに関わった米山小学校は、今年度で閉校し、2026年4月に剣野小・鯨波小・米山小の3校が統合されるとのこと。
子どもたちにとって忘れられない思い出であると同時に、少子化の現実を感じて少し切なくなる瞬間でもありました。
また季節を変えて訪れたい場所
海と人の営みが近い笠島の町。静かな無人駅、海に浮かぶ鳥居、そして地域の子どもたちの想いが詰まった駅舎。
一度訪れただけでは終わらない、季節を変えてまた歩きたくなる、そんな魅力を持つ場所でした。


























訪問日:2025年11月30日(日)
往路:東京駅(上越新幹線)→ 長岡駅(信越本線)→ 笠島駅
復路:往路の逆


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