「熊が怖いけれど、それでも行きたい。」
そんな思いを胸に向かった秋晴れの谷川岳。一ノ倉沢の絶壁と、偶然出会ったご夫婦との小さなご縁が、思い出深い一日になりました。水上の自然が見せてくれた雄大な景色と、心あたたまる出来事を綴ります。
紅葉が始まっている頃かなと思いつつも、水上町では連日のように熊出没のニュースがあり、行くかどうか迷っていました。けれど、10月17日の天気予報は快晴。地元の方でも滅多にないというほどの好天に「これは千載一遇」と思い切って出かけることにしました。
上毛高原駅からローカルバスで約1時間。途中で見えた「土合駅」は、山小屋のようなおしゃれな外観。地下へ400段以上も階段を下る“モグラ駅”として知られていて、いつか訪れてみたいと思いながら車窓から眺めました。
谷川岳ロープウェイ駅「谷川岳ヨッホ」に着くと、スタッフの方が「今日は本当にめったにないくらいの天気ですよ!」と声をかけてくれました。
ロープウェイに乗る前に、ずっと気になっていた一ノ倉沢のことを尋ねると、「鈴を鳴らしていれば大丈夫!」との答え。ちょうどその場にいたご夫婦が「私たちも今から行くところ」とおっしゃり、思い切って「ご一緒させていただけませんか?」と声をかけると、快く受け入れてくださいました。
舗装された細い道を、片道3キロのハイキング。時おり電気バスが通り過ぎていきます。今は環境保護のため車の乗り入れは禁止されていますが、かつてはこの道が国道だったというのだから驚きです。歩いていると、澄んだ空気と緑が心地よく、足取りも軽くなっていきました。
マチガ沢出合を過ぎ、一ノ倉沢出合にたどり着くと、目の前には切り立つような巨大な岩壁。写真では到底伝わらないスケール感に圧倒されました。まだ一部に雪が残り、紅葉には少し早いものの、その雄大な景色に息を呑みます。こんな場所をクライミングする人がいるなんて信じられないほどの迫力です。
幽ノ沢方面への道もありましたが、熊のことを考えてここで引き返すことに。
帰りもご夫婦とお話ししながら一緒に戻り、無事に谷川岳ヨッホへ。
一人で来ていたら不安だった道も、偶然出会った優しいご夫婦のおかげで安心して歩くことができました。
自然の雄大さと人のあたたかさ。その両方に触れられた一日でした。
このあと、ロープウェイに乗って天神平へ──。


















訪問日:2025年10月17日(金)


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