江戸時代の風情が今も残る金沢・ひがし茶屋街。
2023年4月、滞在中に訪れたのは、文政3年(1820年)創建の歴史あるお茶屋「志摩」。
芸妓文化が息づく伝統の空間で、静かな時間と抹茶の香りに包まれたひとときを過ごしました。
金沢・ひがし茶屋街の中に佇む「志摩」
金沢の観光地として知られるひがし茶屋街。その中でもひときわ趣のある建物が、国の重要文化財に指定されているお茶屋「志摩」です。
文政3年(1820年)に建てられた建物が、当時のままの姿で残っており、二階を客間とした優美な造りは、まさに芸妓文化の象徴。
押し入れや物入れのない間取りは、住居ではなく「遊芸のための空間」であったことを物語っています。
お茶屋建築に残る美の意識
中に入るとまず、手荷物をロッカーに預け、木の階段を上がって二階から見学が始まります。
客間には、障子から差し込む柔らかな光が広がり、まるで時が止まったかのよう。
美意識の高い芸妓たちが粋を競い、上客をもてなした情景が自然と浮かんできます。
茶室「寒村庵」でいただく一服
見学のあとは、台所の奥にある小さな茶室「寒村庵」へ。
静かな空間に流れるお香の香りと、抹茶のほろ苦さ。旅の途中でふと立ち止まり、心を整えるような時間になりました。
お茶をいただきながら、外のざわめきとは無縁の、穏やかな金沢の時間が流れていきます。
ひがし茶屋街を歩いて見つけたもの
志摩を後にして、石畳の通りをゆっくりと散策。格子戸の町屋が続く街並みに、時折カメラを構える観光客の姿も。
最後に見かけた長いスコップのような道具が気になり、調べてみると「つらら落とし」に使うものだそう。雪国・金沢ならではの冬の知恵に触れ、旅の終わりまで発見の連続でした。
伝統が息づく、静かな時間
ひがし茶屋街のお茶屋「志摩」は、ただの観光名所ではなく、「金沢の美意識そのもの」。
華やかさの奥にある静寂と品の良さに触れ、ひとり旅ならではの贅沢な時間を感じました。
江戸から続く伝統を、今も丁寧に守り続ける金沢。旅の記憶に深く残る場所です。





















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