石川県立図書館へ|円形の本棚を歩いて見つけた、本との新しい出会い方

石川県立図書館の円形に広がる本棚とブリッジ アートと文化

学生時代によく利用していた、本多町時代の石川県立図書館。
小立野へ移転した現在の図書館を初めて訪れたとき、そのあまりの変わりように驚いたことを覚えています。

今回は、そんな石川県立図書館を久しぶりに再訪しました。
円形に広がる本棚や大きな吹き抜けを改めて眺めながら、実際に本を探し、館内を歩いてみることに。

すると、最初の訪問では建物の印象に隠れていた、この図書館ならではの面白さが少しずつ見えてきました。


大雨の日に偶然訪れた石川県立図書館へ、もう一度

石川県立図書館には、学生時代から馴染みがありました。
当時は本多町にあり、書架に本が並ぶ昔ながらの図書館で、学生だった私もよく利用していました。

小立野へ移転した現在の石川県立図書館を初めて訪れたのは、父の通院に付き添うため金沢に滞在していた頃のことでした。
通院で利用していたバスの終点に図書館があることは知っていましたが、その日はあいにくの大雨。ホテルの清掃時間をどう過ごそうかと考え、雨を避けるように立ち寄ったのがきっかけでした。

中へ入って驚いたのは、学生時代に通っていた図書館とはまるで違う、開放的な空間。 「これが県立図書館?」と思うほど印象が変わり、本を探すというより建物を眺めて歩いた記憶が強く残っています。

それから時が経ち、今回はもう一度この図書館を訪れてみることにしました。

金沢駅からバスに乗ると、車内には観光客らしい人の姿もちらほら。
近くにいたカップルからは「期待できるよね」「いい写真が撮れそう」と楽しそうな会話が聞こえてきました。

どこへ行くのだろうと思っていたら、降りたのは私と同じ終点の石川県立図書館。
図書館そのものを目的に訪れる人もいることに、少し驚きました。

やっぱり目を奪われる、円形劇場のような空間

館内へ入り、図書館エリアへ進むと、今回も目の前に広がる空間に思わず足が止まりました。

中央には大きな吹き抜けがあり、その周囲を取り囲むように本棚が続いています。
上を見上げれば円形の天井、その下には幾重にも重なるようなフロアやブリッジ。初めて訪れたときに「円形劇場のようだ」と感じた印象は、今回も変わりませんでした。

ただ、前回はその光景に圧倒されて、ほとんど建物を眺めて終わってしまいました。
せっかく再訪した今回は、もう少しこの図書館の中を歩き、実際に本を探してみることにしました。

せっかくなので、実際に本を探してみる

何か一冊探してみようと思い、選んだのは手芸の本でした。

館内の案内を見ながら該当するエリアへ向かうと、円形のリングの後ろには、一般的な図書館でも見慣れた本棚が並んでいます。
分類表示をたどっていくと「594 手芸」を見つけ、その先には編み物や刺繍などの本がずらり。

大きな円形空間ばかりに目を奪われますが、目的の本が決まっているときには、分類を手がかりに探していくことができます。

ところが館内をさらに歩いていると、この図書館で本にたどり着く方法は、それだけではないことに気づきました。

本を「探す」だけではない、いくつもの出会い方

一般書架の内側に広がるリングにも本が並んでいます。
では、リングの本と、その後ろにある一般書架の本は何が違うのでしょう。館内を歩いているうちに気になり、司書の方に尋ねてみました。

リングに並ぶのは、「本との出会い」を意識した12のテーマと、そこから分かれたトピックに沿って司書が選んだ本なのだそうです。
一方、その後ろには一般的な分類に沿った書架が並んでいます。

目的の本が決まっていれば、分類を手がかりに一般書架から探す。
リングでは、気になるテーマを眺めながら歩いているうちに、思いがけない一冊が目に入る。
同じ図書館の中でも、本へのたどり着き方が違うことが分かりました。

さらに1階へ降りると、「里の恵み・文化の香り〜石川コレクション〜」というコーナーがあります。

そこには漆器や九谷焼、水引、和菓子など、石川の文化に関する本が並び、実物の工芸品なども交えながら紹介されていました。

手芸の本を探していたこともあり、ここで水引の本が目に留まりました。

同じ水引でも、「手芸」という分類から探すこともできれば、「石川の文化」という入口から出会うこともできる。
一冊の本へたどり着く道がひとつではないことが、この図書館を実際に歩いてみて少しずつ分かってきました。

本が星のように巡る「ブックリウム」

なかでも印象に残ったのが「ブックリウム」です。

名前を見た瞬間、思い浮かんだのはプラネタリウム。
暗い空間に入ると、壁いっぱいにたくさんの本が浮かび、まるで星の群れのようにくるくると動いていました。

画面に触れながら気になる本を探していくことができ、眺めているだけでも楽しくなります。
図書館というと静かに棚を歩いて本を選ぶイメージがありますが、ここでは少しゲームをするような感覚で本に触れられます。

子どもだけではなく、大人でもつい試してみたくなる遊び心のある空間でした。

分類から目的の本を探す。テーマから気になる本を見つける。石川という土地を入口に本を知る。そして、視覚的に楽しみながら偶然の一冊に出会う。
ブックリウムを眺めながら、この図書館が大切にしている「本との出会い」が、ここに象徴されているように感じました。

本棚の間にも、ブリッジにも。それぞれの過ごし方

本を探しながら館内を歩いていると、読むための場所もあちこちにあることに気づきます。

本棚の一角には、すっぽりと収まるような小さな席。
少し集中して読みたいときには、こんな場所もよさそうです。

一方、ブリッジへ出ると雰囲気は一変します。
吹き抜け越しにリングや本棚を眺められ、下から見上げていた空間を今度は上から見渡すことができました。

館内を歩いていると、石川の伝統工芸がさりげなく展示されている場所にも出会います。
本だけではなく、建物や工芸、そこで過ごす場所まで含めて、歩くたびに少しずつ景色が変わっていくのも印象的でした。

歩き回ったあとは、館内のカフェへ

ひと通り館内を歩いたあとは、1階のカフェでひと休みすることにしました。

注文したのはカフェオレとコーヒーゼリー。
軽食も用意されていて、店内にはテーブル席のほか、クッションに座って過ごせる上がり間のようなスペースもありました。コンセントが使える場所もあり、図書館で過ごす途中の休憩にも使いやすそうです。

初めて訪れたときは「図書館の中にカフェまであるんだ」と眺めただけでしたが、今回は実際に利用してみることができました。

再訪して気づいた、建物だけではない面白さ

大雨の日に偶然立ち寄った最初の訪問では、円形劇場のような建物の美しさばかりが強く印象に残りました。

今回も思わず写真を撮りたくなる空間であることに変わりはありません。
けれど実際に本を探しながら歩いてみると、目的の一冊を探すだけではなく、テーマや土地、そして遊び心のある仕掛けを通して、知らなかった本に出会えるよう工夫されていました。

変わったのは、建物だけではなかったようです。
本を探す場所であると同時に、知らなかった本と出会う場所でもある。
今回はそんな石川県立図書館の面白さを、少し知ることができました。

石川県立図書館の外観
石川県立図書館のだんだん広場
石川県立図書館の円形に広がるグレートホール
石川県立図書館のグレートホールを見上げた円形天井
石川県立図書館のリング後方に並ぶ一般書架
石川県立図書館のリングに並ぶテーマ別の本棚
石川県立図書館の「里の恵み・文化の香り〜石川コレクション〜」
水引や和菓子など石川の文化を紹介する本と展示
石川県立図書館のブックリウムに浮かぶたくさんの本
本がくるくると動く石川県立図書館のブックリウム
石川県立図書館の本棚の間に設けられた閲覧席
石川県立図書館のリングとブリッジが重なる館内空間
上階から見下ろした石川県立図書館のグレートホール
石川県立図書館の館内に展示された石川県の伝統工芸
石川県立図書館1階のカフェの店内
石川県立図書館のカフェで注文したカフェオレとコーヒーゼリー

📷 金沢で写真に残したくなる文化と空間

石川県立図書館のように、金沢には空間そのものに惹かれ、思わず写真に残したくなる場所があります。
水引の美しい作品や、ひがし茶屋街に残る茶屋建築など、金沢の文化に触れた記録もあわせてどうぞ。

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