石川県小松市の那谷寺は、国の名勝・奇岩遊仙境や重要文化財の建造物、苔の広がる庭園など、多くの見どころを持つ寺院です。 春先には、境内の小径で苔の上に落ちた椿の花も見ることができます。
この記事では、3月に訪れた際の金堂華王殿や書院庭園、琉美園、奇岩遊仙境などの見学の様子と、公共交通機関でのアクセスや境内の散策路について紹介します。
金沢から電車とバスで那谷寺へ
2023年3月、金沢滞在中に石川県小松市の那谷寺(なたでら)を訪れました。 加賀伝統工芸村「ゆのくにの森」を調べていた際、近くに那谷寺があることを知ったのがきっかけです。
那谷寺には小学生の頃に遠足で訪れたことがありました。 それ以来、久しぶりの訪問です。
今回は金沢駅から普通列車で粟津駅へ向かい、路線バスに乗り継いで那谷寺を目指しました。 訪問当時、粟津駅からのバスは本数が少なかったため、あらかじめ時刻を確認して移動しました。
バスを降りて境内へ向かうと、立派な山門が迎えてくれます。 3月の平日だったためか、訪問時は人も少なく、落ち着いて境内を歩くことができました。
那谷寺とは|白山信仰と奇岩遊仙境で知られる寺院
那谷寺は、717年に泰澄大師によって開かれたと伝わる寺院です。 白山信仰と深い関わりがあり、境内には自然の岩山を利用した本殿や、国の名勝に指定された奇岩遊仙境などがあります。
江戸時代には加賀藩三代藩主・前田利常によって伽藍が再建され、現在も本殿や三重塔、護摩堂、鐘楼などの重要文化財が残されています。 松尾芭蕉が『おくのほそ道』の旅で訪れた寺院としても知られています。
また、那谷寺は観光地を評価する『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』で一つ星に選ばれたこともあります。
金堂華王殿と特別拝観エリアへ
境内に入って最初に目を引いたのが、朱塗りの大きな金堂華王殿です。 1990年に再建された総檜造りの建物で、高さ約7.8メートルの十一面千手観世音菩薩像が安置されています。
正面から見ると、大きな屋根と朱色の柱が印象的でした。
この日は通常の境内散策に加えて、特別拝観エリアにも入りました。 書院や庭園など、通常の拝観では立ち入れない場所を見学できるエリアです。
重要文化財の書院と書院庭園
書院は、1637年に前田利常によって再建された建物で、国の重要文化財に指定されています。
書院に隣接する庭園は、茶人・作庭家として知られる小堀遠州の指導を受けて造られたと伝わり、国の名勝に指定されています。
庭には苔が広がり、木々や庭石が配置されていました。 3月の訪問でしたが苔の緑が鮮やかで、落葉した木々との対比も印象に残りました。
琉美園と三尊石
書院の奥には、琉美園(りゅうびえん)と呼ばれる庭園があります。 昭和を代表する作庭家・中根金作によって造られ、1981年に完成した庭園です。
ここで目を引くのが、阿弥陀三尊に見立てられた三尊石です。 自然の岩が三つに分かれた形をしており、高さのある岩には注連縄が掛けられていました。
周囲には木々や庭石が配置され、那谷寺の自然の岩を生かした景観を間近に見ることができます。
特別拝観エリアからトンネルを通って戻る
特別拝観エリアの見学後は、岩をくり抜いたようなトンネルを通り、金堂華王殿の方へ戻りました。
トンネルの内部には石畳が敷かれ、壁沿いに照明が設けられています。 入口は岩に囲まれており、外から見ると岩山の中へ入っていくような造りでした。
なお、このトンネルは本殿にある「いわや胎内くぐり」とは別の場所です。 特別拝観エリアから戻るための通路として利用しました。
苔と落椿が見られた3月の境内
この日の境内で特に印象に残ったのが、苔の上に落ちた椿の花でした。
白い砂利が敷かれた小径の両側には苔が広がり、赤い椿の花があちこちに落ちていました。 小径の上にも花が散っていて、3月ならではの景色を見ることができました。
苔の上に花が一輪だけ落ちている場所もあれば、まとまって散っている場所もありました。 紅葉の季節とは異なる、春先の那谷寺の見どころです。
奇岩遊仙境|展望台から岩山と稲荷社を眺める
那谷寺を代表する景観の一つが、国の名勝に指定されている奇岩遊仙境です。 岩肌が複雑な形に削られ、大小の岩が連なる独特の景観が広がっています。
岩の間には石段や赤い鳥居が見え、その先には稲荷社があります。 自然の岩山の中に参拝のための施設が設けられている様子が分かりました。
訪問時は奇岩遊仙境の岩場には立ち入ることができなかったため、展望台側から見学しました。
3月は落葉している木も多く、岩の形や石段、鳥居を比較的見通しやすい時期でした。 小学生の頃に見た記憶が残っていたのも、この奇岩遊仙境です。
本殿・鎮守堂・楓月橋・三重塔を巡る
那谷寺の境内には、奇岩遊仙境のほかにも歴史ある建造物が点在しています。 木々に囲まれた道や階段を歩きながら、それぞれの建物を見学しました。
岩山を利用した本殿と鎮守堂
那谷寺の本殿は、自然の岩山を利用した造りが特徴で、国の重要文化財に指定されています。 本殿には「いわや胎内くぐり」と呼ばれる場所があり、岩窟を巡ることで生まれ変わるという信仰が伝えられています。
また、境内では高い木造の柱組みの上に建つ鎮守堂も見ることができました。 地面から建物を支える柱がよく見え、特徴的な構造が印象に残りました。
朱色の欄干が続く楓月橋
楓月橋は、奇岩遊仙境を見下ろせる場所に架かる、朱色の欄干が特徴的な橋です。 展望台へとつながる橋で、周囲の岩山や木々を眺めながら歩くことができます。
訪問時はまだ葉を落とした木も多く、橋の朱色がよく目立っていました。
重要文化財の三重塔
境内には、国の重要文化財に指定されている三重塔もあります。
木々に囲まれた比較的小ぶりな塔で、三層の屋根や細かな木組みを見ることができます。 散策の途中で立ち寄り、建物の外観を見学しました。
護摩堂と鐘楼などの建造物
那谷寺には、護摩堂や鐘楼など、江戸時代の建造物も残されています。 いずれも国の重要文化財に指定されています。
護摩堂は江戸時代の寛永年間に建てられた建物です。 正面には大きな注連縄が掛けられ、屋根の曲線や木彫りの装飾を見ることができました。
鐘楼も同じく寛永年間の建造物です。 下部が袴のように広がった独特の形をしており、周囲の木々に囲まれた場所に建っています。
それぞれの建物は境内に点在しているため、参道や散策路を歩きながら見学する形になります。
境内の散策路と歩く際の注意点
那谷寺の境内は広く、平坦な砂利道だけでなく、石段や坂道もあります。
岩壁に沿って続く細い通路もあり、苔に覆われた岩や石畳を間近に見ることができました。 足元に凹凸がある場所もあるため、歩きやすい靴で訪れるのがおすすめです。
特別拝観エリアも含めて見学する場合は、庭園や建造物をじっくり見る時間を確保しておくとよいでしょう。
那谷寺へのアクセス|公共交通機関と車
那谷寺へは、車のほか、公共交通機関でもアクセスできます。
電車・バスでのアクセス
2023年3月の訪問時は、金沢駅から普通列車で粟津駅へ向かい、路線バスに乗り継ぎました。
粟津駅からのバスは当時、本数が少なかったため、帰りの時刻も確認してから境内を散策しました。
加賀温泉駅方面からは周遊バスを利用する方法もあります。 ただし、バスの路線や運行時刻は変更されることがあるため、訪問前に最新の情報を確認してください。
車でのアクセス
車の場合は、北陸自動車道の小松ICまたは加賀IC方面からアクセスできます。 境内周辺には駐車場もあります。
拝観時間や料金、特別拝観エリアの公開状況については、那谷寺の公式サイトで確認することをおすすめします。
















🍁 那谷寺の紅葉と加賀の伝統工芸
那谷寺には11月にも訪れ、紅葉の時期の奇岩遊仙境や境内を散策しました。 また、同じ加賀地域にある「ゆのくにの森」では、伝統工芸の紙漉き体験をしています。


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