新潟県南魚沼市にある「魚沼の里」を2026年5月末に訪れました。
バスツアーの昼食休憩として立ち寄った場所でしたが、八海山雪室見学ツアーに当日参加できたことで、雪国の知恵やお酒の熟成について学ぶ“大人の社会科見学”のような時間に。
八海山みんなの社員食堂で味わった魚沼産コシヒカリの昼食や、新緑に囲まれた里山散策も印象に残る、想像以上に充実した立ち寄りとなりました。
当日枠で参加できた八海山雪室見学ツアー
魚沼の里は、今回参加したバスツアーでは昼食休憩を兼ねた自由散策の時間として組み込まれていました。
事前に調べていると、「八海山雪室 雪中貯蔵庫見学ツアー」が開催されていることを知り、ぜひ参加したいと思ったのですが、予約ページを確認すると希望できそうな時間帯はすべて満席。半ば諦めた状態で当日を迎えました。
ところが雪室に着いてみると、各回5名分の当日枠があることが判明。
思わず「本当ですか!」と言いたくなるような気持ちで13時の回を申し込みました。
開始時間まで少し余裕があったので、「ユキムロカフェ」で麹甘酒を使ったアイスカフェオレを注文。窓の外に広がる新緑を眺めながら、これから始まる見学ツアーへの期待を膨らませます。
甘酒入りのカフェオレは優しい甘さで、少し空いていたお腹も満たしてくれるような味わいでした。
当日枠を確保できた安心感もあり、窓の外の新緑を眺めながらゆっくりと過ごします。
「どんな場所なのだろう」
「雪室って実際にはどんな空間なのだろう」
と、これから始まる見学への期待で自然と気持ちが高まっていました。
雪国の知恵から生まれた天然の冷蔵庫
時間になると参加者15名が集まり、ツアーがスタートしました。
まずはパネル展示を見ながら雪室について説明を受けます。
雪室とは、冬に積もった雪を利用して食品などを保存する雪国の知恵から生まれた天然の冷蔵庫のこと。電気冷蔵庫が普及する昭和30年代頃までは、雪国各地で利用されていたそうです。
説明を聞いているうちに、以前訪れた金沢の湯涌温泉にある氷室を思い出しました。
雪の中に直接食品を埋めて冷やす「かまくら型」と、雪で冷やされた空気を循環させる「氷室型」があり、八海山雪室は後者にあたるとのこと。
さらに、この環境で長期間熟成されたお酒は甘みや旨みが増していくそうです。
難しい理屈は分からなくても、「きっと美味しくなるのだろうな」ということだけは十分伝わってきました。
4℃の世界へ 雪中貯蔵庫の内部を見学
いよいよ雪中貯蔵庫の中へ。
扉が開いた瞬間、
「おおおお〜、寒い!」
思わずそんな声が出そうになるほどでした。
覚悟していたつもりでしたが、想像以上の冷たさです。
温度計を見ると室温は4℃。
内部には大きな銀色のタンクや設備が並び、その光景はどこか近未来的で、まるで宇宙船の中に入り込んだような雰囲気でした。
ここでは最大1,000トンもの雪が利用されているそうです。1,000トンと聞いても最初はピンときませんでしたが、実際に雪の塊を目の前にすると、その規模の大きさに圧倒されました。
さらに奥へ進むと実際に雪が保存されているスペースも見ることができます。空きスペースではコーヒー豆も保存されていて、「雪室コーヒー」として販売されているそうです。
15cmもの厚みがある壁にはしっかりと断熱材が使われていますが、それでも電気による冷却を行わず、雪だけで3〜5℃を維持しているとのこと。
「壁が15cmもあるの?」と驚きましたが、それだけ徹底した断熱構造だからこそ、雪の力だけで安定した低温環境を保てるのだそうです。
真夏でも7℃前後を維持していると聞き、その仕組みに感心しました。
また、ここで使われる雪は毎年3月頃に搬入されるそうですが、すべて入れ替えるわけではなく、残った雪の上に新しい雪を積み重ねていくとのこと。
雪が手前から溶けていくよう設計されているため、翌年の雪の搬入作業も効率的に行えるそうで、細かなところまで考えられた仕組みに驚かされました。
昔の雪国の暮らしに思いを馳せる
貯蔵庫へ入る前の展示スペースには、昭和30年代頃の雪国の暮らしを伝える写真も展示されていました。
雪室で作られた氷が魚屋などへ運ばれ、店頭では魚の下に氷が敷かれている様子が写されています。
その写真を見ているうちに、子どもの頃に見かけた昔ながらの魚屋を思い出しました。
今では大型スーパーが増え、そうした光景を見る機会も少なくなりましたが、氷の上に魚が並んでいた記憶は今でも残っています。
わずか60年ほど前まで、こうした暮らしが当たり前だったのだと思うと、不思議な気持ちになりました。
雪室で熟成される焼酎とロマンチックなサービス
見学コースの後半では、雪室で熟成されている焼酎を見ることができました。
ポルトガルから取り寄せたというオーク樽が並ぶ光景はとても印象的です。
ここでは酒粕から造られた焼酎「面向未来(めんこうみらい)」が熟成されています。
購入した焼酎を最長5年間預かり、希望の日に返却してくれるサービスもあるそうです。
並んだボトルを眺めながら、自分の記念日や家族の節目に合わせて熟成させる人もいるのだろうなと想像しました。
自分のボトルの様子を見に来るのも楽しそうで、どこかロマンチックな空間に感じられます。
また、説明の中では日本酒だけでなく焼酎やウイスキーについても紹介がありました。
特に印象に残ったのは、米を原料にしたウイスキーも製造しているということです。
生産量が少ないため抽選販売になるほど人気だそうで、私の中で八海山といえば日本酒のイメージだっただけに意外でした。
焼酎やウイスキーまで手がけていることを知り、八海山を見る目が少し変わった気がします。
ツアー参加者には「雪室熟成三年」の試飲サービスもあります。
私はお酒が飲めないため、代わりに甘酒のボトルをいただきました。
わずか15分の見学でしたが、とても内容の濃い時間でした。
八海山みんなの社員食堂で昼食
見学を終えると、急いで昼食へ向かいます。
途中には蕎麦屋の長森や、おにぎり屋のてっぺんもありましたが、この日は「八海山みんなの社員食堂」へ向かいました。
開放感のある建物で、窓の外には里山の風景が広がっています。
日替わり定食は売り切れていたため、魚の定食を選びました。
厚みのあるさわらに加え、サラダや小鉢も3種類付いていて想像以上の充実ぶりです。
社員食堂という名前からもっとシンプルな食事を想像していましたが、観光で訪れた人でも十分満足できる内容でした。
さわらは身がふっくらとしていて食べ応えも十分。素材の良さを感じる優しい味付けも印象的でした。
さらに、ここでは甘酒を無料で一杯試飲することができます。
そして何より印象に残ったのが魚沼産コシヒカリ。
本当はご飯を少なめにしてもらおうと思っていたのですが、つやつやと輝く魚沼産コシヒカリを見て、そのまま受け取ることにしました。
結果は大正解。
美味しくて、気がつけばぺろりと完食していました。
普段なら少し多いかなと思う量でしたが、お米そのものの美味しさを改めて実感した昼食となりました。
こんな社員食堂が近くにあったら毎日通いたくなるほどです。
花と田園風景に癒やされる魚沼の里散策
食後は魚沼の里を散策しました。
途中で気になっていた「魚沼の里ガーデン」へ立ち寄ると、ちょうど同じツアー参加者の方と再会。
「青い建物と空と花を一緒に入れると素敵ですよ」
と教えていただき、その通りに撮影してみると、まるで童話の世界のような一枚を撮ることができました。
花畑の中を歩きながら何枚も写真を撮っているうちに、時間が経つのを忘れてしまうほどでした。
一人で参加したツアーでしたが、こうしたちょっとした会話や出会いがあるのも旅の楽しさのひとつだなと感じます。
その後は「さとや」をのぞいたり、石動神社を訪れたりしながら敷地内を散策。
時間の都合で展望小屋や不動神社、善照庵、千年こうじや本店などには立ち寄れませんでしたが、それでも十分楽しめました。
想像以上に魅力的だった魚沼の里
魚沼の里は、想像していた以上に魅力的な場所でした。
広々とした敷地には蔵や店舗が点在し、その間を新緑に囲まれた小道がつないでいます。
田植えを終えたばかりの田園風景を眺めながら歩く時間は、とても贅沢でした。
そして八海山雪室見学ツアーも、わずか15分とは思えないほど充実した内容でした。
何年もかけてお酒を熟成させる雪室のように、短い時間の中にたくさんの学びや発見が詰まった、大人の社会科見学となりました。
正直なところ、訪れる前は「昼食休憩をする場所」くらいの認識でした。
ところが実際には、雪室見学という大人の社会科見学があり、美味しい食事があり、美しい里山風景がありました。
限られた自由時間の中でも十分楽しめましたが、次に訪れる機会があれば、今回行けなかった展望小屋や善照庵、不動神社などにも足を延ばしてみたいと思っています。
魚沼の里は、美味しい食事やスイーツを楽しむだけでなく、自然や文化、雪国ならではの知恵にも触れられる場所でした。
ツアーの立ち寄り先として訪れましたが、今度は魚沼の里を目的地にして再訪してみたい――そんな気持ちになる場所でした。
寒さに弱い方は、短時間でも羽織るものを持参すると安心です。特に夏場は外との温度差が大きいため、より寒く感じるかもしれません。
































📖 魚沼で出会った文化と風景
魚沼には、雪室や発酵文化だけでなく、見事な彫刻が残る寺院や山岳信仰の歴史を感じる場所もあります。
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