富岡製糸場で座繰り体験と荒船風穴を巡る|絹産業の現場を体感する一日

大人の社会科見学

2024年10月、世界遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」を巡るひとり旅に出かけました。
前回の訪問で心に残っていた座繰り体験をもう一度体験したいと思い、今回は荒船風穴とあわせて訪問。
生糸が生まれる現場と、その背景にある自然のしくみを体感する旅になりました。


荒船風穴へ|下仁田から山間部へ向かう旅のはじまり

東京からは新幹線で高崎へ向かい、上信電鉄に乗り換えて下仁田駅へ。
そこからタクシーで山間へと入り、荒船風穴を目指します。

荒船・東谷風穴蚕種貯蔵所跡|天然の冷風を活かした施設

今回訪れたのは、世界遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成資産のひとつである「荒船・東谷風穴蚕種貯蔵所跡」。
下仁田駅からは荒船風穴・ジオパーク観光タクシー周遊ツアーを利用し、山間部に点在する見どころを巡りました。

荒船風穴は、明治から昭和初期にかけて、天然の冷風を利用して蚕の卵(蚕種)を貯蔵していた施設です。
かつては全国一の収納量を誇り、養蚕農家から預かった蚕種を保管し、時期を調整して出荷していました。

養蚕は本来年に一度しか行えませんでしたが、この風穴の冷気を利用することで、卵の孵化時期をコントロールすることが可能に。
自然の地形を活かした「天然の冷蔵庫」として、日本の絹産業を支えていた重要な施設です。

下仁田駅からは、くねくねと続く細い山道を進み、人の気配もほとんどない静けさの中を走っていきます。
想像していた以上に山深い場所にあり、ここまで運ばれていた蚕種のことを思うと、その労力の大きさに驚かされます。

受付案内所で見学料を支払い、ガイドの方の説明を聞きながら見学します。
富岡製糸場の賑わいとは対照的に、ここには静かな空気が流れていて、訪れる人も多くはありません。
この日はほぼマンツーマンでの案内となり、ゆっくりと話を聞くことができました。

岩の隙間を通り抜ける空気によって生まれる冷気は、実際にその場に立つと、足元からふわっと立ち上がるようにひんやりと感じられます。
訪問した10月でもわずかに冷気を感じることができ、自然の力をそのまま利用した仕組みに感心しました。

夏場には冷気が白く見える「白雲」と呼ばれる現象が現れることもあるそうで、次はその時期にも訪れてみたいと思います。

なお、見学時間は30分ほど。12月から3月までは冬季閉鎖となります。

富岡製糸場で座繰り体験|生糸づくりを体感

その後、上州富岡駅へ戻り、再び富岡製糸場へ。
前回訪問時に気になっていた「座繰り体験」に、今回は実際に挑戦しました。

※前回の訪問では、富岡製糸場とあわせて高崎周辺を巡っています。
▶ はじめて訪れたときの記録

繭から糸口を見つけ、手作業で糸を引き出していく工程は想像以上に繊細で、最初はなかなかうまくいきません。
指導の方にコツを教わりながら少しずつ感覚をつかんでいくと、細く長い糸が静かに巻き取られていきます。

出来上がった糸を手に取ると、ほんのりとした自然の香りとともに、自分の手で生み出した実感が残りました。
ただ見学するだけではわからなかった「生糸」という存在が、ぐっと身近に感じられた瞬間です。

富岡製糸場と荒船風穴を巡って感じたこと

今回は、世界遺産を構成する2つの場所を巡ることで、生糸がどのように生まれ、どのように支えられてきたのかを体感する旅になりました。

賑わいのある富岡製糸場と、静けさに包まれた荒船風穴。対照的な環境の中で、それぞれが担っていた役割を知ることで、絹産業の全体像が少し見えてきたように感じます。

歴史を学ぶだけでなく、体験として実感できたことが、今回の旅のいちばんの収穫でした。

アクセス情報

■ 荒船風穴(荒船・東谷風穴蚕種貯蔵所跡)
・上信電鉄 下仁田駅からタクシーで約30分
・山間部に位置し公共交通でのアクセスは難しいため、タクシーの利用がおすすめです

■ 富岡製糸場
・上信電鉄 上州富岡駅から徒歩約10分
・見学ルートや体験プログラムも整備されています

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