以前から気になっていた魚沼市の西福寺開山堂を2026年5月末に訪れました。目当ては「越後のミケランジェロ」と称される石川雲蝶の作品です。素晴らしい作品があるとは聞いていましたが、実際に目にした瞬間、その迫力と美しさに圧倒されました。天井いっぱいに広がる大彫刻や繊細な欄間彫刻、遊び心のある埋め木細工など見どころは想像以上。バスツアーでの短い滞在ながら、再び訪れたいと思うほど心を動かされた西福寺の魅力を紹介します。
石川雲蝶の作品を見たくて、西福寺へ
新潟県魚沼市にある西福寺は、「越後のミケランジェロ」とも呼ばれる石川雲蝶の作品が数多く残ることで知られる曹洞宗の寺院です。
実家が曹洞宗ということもあり、以前から気になっていたお寺のひとつでした。特に雲蝶の作品は一度実物を見てみたいと思いながらも、「浦佐ならいつでも行ける」と後回しにしていた場所です。
ところが気づけば公共交通機関で訪れるには少し不便になっており、今回参加したバスツアーでようやく訪れる機会を得ました。
素晴らしい作品があるとは聞いていましたが、正直なところ訪れる前はそこまで期待が高かったわけではありません。
ところが実際に目にした瞬間、その考えは吹き飛びました。
「大変失礼いたしました」
思わずそんな気持ちになってしまうほど、作品の迫力と美しさに圧倒されたのです。
決して大きなお寺ではないのに見どころが多く、バスツアーの約30分という滞在時間では足りないほど。再び訪れてじっくり鑑賞したいと思うほど強く心を動かされました。
天井いっぱいに広がる「道元禅師猛虎調伏の図」
西福寺では本堂から渡り廊下でつながる開山堂へ向かいました。
本堂や開山堂内は撮影禁止となっているため、天井彫刻や襖絵を写真に残すことはできません。だからこそ一つひとつの作品を目に焼き付けようと、いつも以上にじっくりと見上げながら鑑賞しました。
中でも圧巻だったのが、天井三間四方(約6メートル四方)いっぱいに広がる大彫刻「道元禅師猛虎調伏の図」です。
この作品は石川雲蝶が一人で6年の歳月をかけて完成させたもの。
例えが陳腐かもしれませんが、まるで飛び出す絵本の仕掛けを見ているような躍動感があります。
遠近法が取り入れられているため奥行きを感じ、一つひとつの彫刻が立体的に迫ってきます。さらに細部の彫りは驚くほど繊細で、美しい岩絵具による彩色が作品をより華やかに見せていました。
気がつけば首が痛くなることも忘れ、ただ見上げ続けていました。
欄間彫刻や襖絵にも目を奪われる
開山堂の見どころは天井彫刻だけではありません。
正面の向拝欄間に施された彫刻も見事で、開山堂を訪れる前に公式サイトの解説動画を見ていたおかげで、欄間彫刻に込められた物語も理解しながら鑑賞することができました。
予習なしでも十分に楽しめますが、物語を知ったうえで見ると作品の見え方がまた違ってきます。
また、両面彫り細工や漆喰細工も見事のひと言。
階段の両脇に立つ仁王像は、それぞれ一本の欅から彫り出されたものです。木目が残る姿は今にも動き出しそうな迫力があり、人の手で作られたとは思えないほどの生命感を感じました。
さらに襖絵も見逃せません。
孔雀と牡丹を描いた「孔雀遊戯之図」は実に華やかで、その場からなかなか動けなくなるほどでした。
木を彫るだけでなく絵も描き、石も彫る。
石川雲蝶が「越後のミケランジェロ」と呼ばれる理由を、作品を見ながら何度も実感しました。
宝探しのように楽しめる埋め木細工探し
作品を見ながら本堂の廊下を歩いていると、他の参拝客が床を見つめながら歩いていることに気付きました。
実は本堂の大廊下には、石川雲蝶による「埋め木細工」が隠されているのです。
私も宝探しのような気持ちで探してみると、筆や瓢箪、さまざまな形の葉、小槌、花瓶に生けられた花など、次々と見つかります。
限られた時間でもかなり発見できたので、もっとゆっくり見ていたらさらに多く見つけられたかもしれません。
圧倒的な芸術作品を残した雲蝶が、こんな遊び心まで忍ばせていることに思わず笑顔になりました。
開山堂の外にも残る見事な彫刻
堂内の作品に目を奪われましたが、開山堂の外にも雲蝶の彫刻が残されています。
こちらは彩色されていないため彫りの深さや細かな表現がよく分かり、堂内作品とはまた違った魅力がありました。
また、開山堂は茅葺き屋根の歴史ある建物ですが、豪雪地帯ならではの覆屋によって守られており、その大きさにも目を見張りました。
堂内の作品だけでも圧倒されましたが、ふと考えるとここは新潟県魚沼市の豪雪地帯です。
山あいにひっそりと建つお寺に、これほどの芸術作品が残されていること自体にも驚かされました。
いつの時代も大切に守り受け継がれてきたからこそ、今こうして私たちが目にすることができるのだと思います。
とち餅との出会いも旅の楽しみ
雲蝶作品を堪能したあと、西福寺の開山堂前にあるお土産店「開運堂」に立ち寄りました。
店主さんの声に惹かれて足を止めたのですが、そこで出会ったのが老舗和菓子店が作るとち餅です。
柔らかく香ばしい味わいで、とても美味しく、もっと買ってくればよかったと思うほどでした。
西福寺を再訪したい理由は、石川雲蝶の作品をもう一度ゆっくり見たいから。
そして、あのとち餅をまた買いたいからでもあります。
魚沼には雲蝶作品が残る場所がほかにもあります。
いつかそれらを巡りながら、西福寺にも再び足を運びたいと思っています。




















📖 魚沼で出会った文化と信仰の旅
魚沼では、西福寺の雲蝶彫刻だけでなく、山岳信仰の歴史を感じる神社や禅寺、地域の文化に触れられる場所も訪ねました。
あわせて巡った魚沼の立ち寄り先もご覧ください。


コメント