新湊・内川を夕暮れ散歩|観光写真の景色を探して歩いた先で

夕暮れの内川と川沿いの町並み 北陸

富山県射水市の新湊を流れる内川。
以前から、川の両岸に漁船が並ぶ風景を観光写真で見ていて、一度その景色を実際に見てみたいと思っていました。

海王丸パークを訪れたこの日、その景色を探して夕暮れの内川へ。
ところが、いくつもの橋から川を眺めても、写真で見た景色がなかなか見つかりません。

「場所が違うのかな?」

そう思いながら歩いた、夕暮れから夜にかけての内川です。


海王丸パークから内川へ、観光写真の景色を探して

海王丸パークをあとにして、万葉線で新町口へ向かいました。

この日、以前から観光写真で見ていた内川の景色を、実際に歩いて探してみようと思っていました。

写真で見ていたのは、内川の両岸に漁船がずらりと並ぶ風景です。
観光協会で尋ねたときには、新町口から歩いて10分ほどと聞いていました。

日没は18時半頃。まだ17時を過ぎたばかりだったので、まずは場所を探しながら歩いてみることにします。

ところが、橋の上から内川を眺めてみても、思っていたより船が少ない。
別の橋まで歩いてみても、やはり観光写真で見たような、両岸に船が並ぶ景色には出会えません。

そんなふうに橋を渡りながら歩いていると、山王橋ではひときわ目を引くものがありました。

橋の四隅に立っているのは、大理石で作られた大きな「手」の彫刻。
新湊出身の彫刻家・竹田光幸氏が手がけた作品で、4基の手にはそれぞれ「人」「心」「愛」「夢」という名前が付けられています。

大きな手に驚きながらも、この日探していたのは漁船が並ぶ内川の風景。
さらに歩いて、いくつもの橋から川を眺めてみました。

それでも船はまばらです。

もう夕方なので、漁に出ていた船が戻ってきてもよさそうなのに……。
「もしかして、観光写真を撮るときだけ船を集めたのかな?」などと考えてしまうほど、目の前の景色と写真の印象が違っていました。

歩き回っているうちに17時半を過ぎました。
日没まではまだ時間があるので、いったん駅近くのお店に入り、夕食にします。

注文したのは白海老の刺身丼。
朝から瑞龍寺、金屋町、山町筋、高岡大仏、海王丸パークと歩き続け、この時点ですっかり汗だく。そんな一日の終わりにいただく白海老は、とてもおいしく感じました。

食事をしながらも、どうにも気になっていたのが、あの観光写真でした。

新町口から徒歩10分ほどと聞いていたのだから、これほど歩いて場所を外しているとも思えません。
それなのに、なぜ同じ景色が見つからないのだろう。

スマートフォンでもう一度写真を検索し、建物や屋根の形までじっくり見ていると、ふと気づきました。

「あれ? これ、さっき通ったところかも……」

観光写真と同じ場所は中の橋だった

食事を終えると、もう一度内川へ戻りました。

写真に写っている建物の並びや屋根の形と、目の前の景色を見比べていきます。
そして中の橋から川を眺めて、ようやく確信しました。

ここです。

私が探していた観光写真は、中の橋から見た景色でした。

写真では両岸にたくさんの漁船が並んでいます。
けれど、この日の内川は水面が大きく開き、船はぽつぽつと係留されているだけです。

さらに見比べてみると、写真の左手前に写っていた建物も新しい建物に変わっていました。

場所を間違えていたわけではありません。
同じ場所に立っていても、観光写真で見た景色とはずいぶん変わっていたのです。

地元の方に聞いた、船が減った内川と変わりゆく町

中の橋で写真を撮っていると、地元の女性が声をかけてくださいました。

観光写真で見た景色を探して歩いてきたことや、写真と比べると船がずいぶん少ないことを話すと、昔はもっとたくさんの船が並んでいたのだと教えてくれました。

漁をする人が少なくなり、船そのものも減ったこと。
漁をやめたあとも係留されたままになっていた船があり、それらも整理され、今では許可なく船を係留することはできないのだそうです。

観光写真と同じ場所に立っているのに、なぜこれほど景色が違うのか。
歩きながらずっと不思議に思っていたことが、ここでようやくつながりました。

もうひとつ、観光写真と見比べて気になっていたのが、川沿いの建物です。

写真では左手前に別の建物が写っていますが、現在は新しい建物に変わっています。
女性によると、2階は宿泊施設、1階はバーになっているとのことでした。

さらに、以前ここへ八尾から踊り手を招いたときの写真も見せてくれました。
昔の船が減ったという話だけではなく、新しくできた店や宿、町で行われた催しのことも話してくれたのが印象に残っています。

話しているうちに、女性の口から「日本のベニス」という言葉も出てきました。

内川はそう呼ばれて紹介されることもありますが、「ここがベニスって言われてもねぇ」と、少し笑いながら話していたのを覚えています。

観光写真のような風景を見たくて歩いてきた私には、その言葉が妙に心に残りました。
地元の方にとっては、「日本のベニス」と呼ばれる観光地というより、漁師さんたちが暮らし、船が行き交ってきた町なのかもしれません。

話をしているうちに、内川には少しずつ灯りがともり始めました。

観光写真で見たように、両岸を埋めるほどの漁船が並ぶ風景を見ることはできませんでした。
けれど、探していた場所を見つけ、なぜ景色が変わったのかを地元の方から聞くことができました。

すっかり暗くなってきたので、そろそろ金沢へ戻ることにします。

帰ろうとしたら、内川ナイトクルーズが出航

そろそろ金沢へ戻ろうと駅へ向かい、川の駅新湊の前まで来ました。

すると、先ほど川の駅新湊の前を通ったときには静かに停まっていた船のエンジンがかかっています。
気になって尋ねてみると、「万葉丸」というこの船が、まもなくナイトクルーズに出航するとのことです。

それなら、内川を進んでいく船を見てみたい。
このあと金沢まで戻らなければならないのに、駅とは反対方向へ急いで橋まで戻りました。

「まもなく」と聞いたので、すぐに船がやって来ると思っていたのですが……来ません。

暗くなった内川を眺めながら待つこと15分以上。
ようやく川の向こうに明るい光が見えてきました。

近づいてくる万葉丸のライトに照らされ、水面まで明るく浮かび上がります。
そして船はそのまま橋の下をくぐり、夜の内川を進んでいきました。

通り過ぎると、先ほどまで明るく照らされていた水面も再び暗闇の中へ。
遠ざかっていく万葉丸を見送って、今度こそ駅へ向かいます。

橋の上から見た内川と両岸に続く町並み
内川の山王橋にある大きな手の彫刻
山王橋の「手」の彫刻。写真は4基あるうちの「人」
内川散策の途中で食べた白海老の刺身丼
中の橋から見た内川と両岸に係留された漁船
日没後の中の橋から見た内川と両岸に係留された漁船
夕暮れの川の駅新湊に停泊する万葉丸
夜の内川を進んでくるナイトクルーズの万葉丸
橋を通過して夜の内川を進む万葉丸

🔔 この日の高岡散策

内川を歩く前に訪れたのは、海王丸パーク。
海王丸や新湊大橋を間近に眺めました。

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