金沢滞在中に足をのばして訪れたのは、福井県敦賀市にある中池見湿地(なかいけみしっち)。
新幹線の駅からほど近くに、まるで昔話の世界に迷い込んだような原風景が広がっていました。
東京から北陸へ、ひとりで静かな自然に触れる時間──。
今回はそんな東京発ひとり旅で出会った「中池見湿地」の魅力を紹介します。
2023年9月の金沢滞在中、ふと「自然の中を歩きたい」と思い立って、敦賀にある中池見湿地を訪れました。
JR敦賀駅からはおよそ2km。徒歩だと30分ほど、予約制のコミュニティバスを使えば徒歩10分ほどで到着します。駅からそれほど離れていないのに、思いがけず静かで緑に包まれた場所でした。
■ ラムサール条約湿地としての中池見
2012年にラムサール条約湿地に登録された中池見湿地は、三つの低山に囲まれた面積約25ヘクタールの小さな内陸湿地です。
周囲を山に囲まれ、市街地からもほど近いのに、ここには水生昆虫や湿地特有の植物が豊かに息づいています。
秋の風が通り抜けるたびに草が揺れ、水面がきらめく光景はとても美しく、足を止めて見入ってしまいました。
■ 茅葺き農家と、暮らしの道具たち
敷地内には、敦賀市内に現存していた築約100年の茅葺き農家を移築した建物があります。
中には、かつて中池見で実際に使われていた田舟や田下駄、鍬などの農具が展示されていて、かつての人々の暮らしぶりを感じることができます。
思っていたよりも大きな建物で、内部の展示も丁寧に整えられており、ここで過ごした人々の知恵と自然との共生が伝わってきました。
■ 新幹線と自然の共存
近くには北陸新幹線の高架橋も通っており、現代と昔が隣り合わせにある不思議な光景です。
今回の新幹線トンネル建設では、中池見湿地そのものへの影響は環境に配慮したルートによって回避されたとのこと。
しかし、その一方で「後谷(うしろだに)」と呼ばれる別の湿地環境には影響が出ているという話も聞きました。
自然を守る難しさと、人の営みとのバランスについて考えさせられます。
■ 散策の終わりに
緑豊かでどこか懐かしい風景の中を歩いていると、まるで時間がゆっくり流れているようでした。
鳥の声や風の音、水のせせらぎだけが耳に届く──そんな静かな散策時間は、ひとり旅だからこそ味わえる贅沢。
東京から北陸へ出かけた今回の旅の中でも、特に心に残るひとときとなりました。














🚶♀️ この旅の前後の記事はこちら:
← 東京発ひとり旅|港町・敦賀を歩く。氣比神宮から金ヶ崎宮まで、心に残る海辺の時間
→ 敦賀駅前の知の拠点へ──“ちえなみき”で出会う静かな感性のひとり旅


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