築地本願寺の建築を見学|ステンドグラス・パイプオルガンと動物の彫刻

中央の曲線屋根と左右対称の建物が特徴的な築地本願寺の本堂 東京

2026年10月26日、東京都中央区にある築地本願寺を訪れました。

古代インドの仏教建築を思わせる独特な外観に、入口を彩るステンドグラス。本堂には華やかな照明やパイプオルガンがあり、その奥には伝統的な浄土真宗の内陣が広がっています。

今回は雨の日にじっくりと参拝し、後日、晴れた朝にも再訪。建築家・伊東忠太が設計した国の重要文化財を、建物の細部や動物の彫刻にも注目しながら見学しました。


築地本願寺とは|伊東忠太が設計した重要文化財

東京都中央区築地にある築地本願寺は、京都の西本願寺を本山とする浄土真宗本願寺派の寺院です。

1617年に現在の日本橋横山町付近に創建されましたが、1657年の明暦の大火で焼失。その後、現在の築地に移転しました。
1923年の関東大震災でも本堂を焼失し、1934年(昭和9年)に現在の建物が再建されました。

設計を手がけたのは、建築家・伊東忠太(いとうちゅうた)。日本建築の歴史を研究し、中国やインドなどを訪れた経験を持つ建築家です。

現在の本堂は、鉄筋コンクリート造を主体としながら、古代インドの仏教建築を参考にした独特な外観と、日本の伝統的な寺院建築の要素を組み合わせています。

2014年には本堂が国の重要文化財に指定され、正門・北門・南門の門柱と石塀も附属する文化財として指定されています。

古代インドの仏教建築を思わせる本堂の外観

正門から境内に入ると、広い石畳の向こうに、左右対称に広がる大きな本堂が姿を現します。

中央には丸みを帯びた大きな屋根がそびえ、左右には仏塔(ストゥーパ)を思わせる塔屋が配置されています。
一般的な日本の寺院に見られる瓦屋根とは異なり、曲線を多用した独特な姿が印象的です。

本堂へ続く大階段の先には、太い柱が並ぶ玄関部分があります。インドの石窟寺院を参考にしたとされる造りで、柱の形や上部の装飾にも特徴が見られます。

建物は石造りのように見えますが、構造の主体は鉄筋コンクリート造。耐震性や耐火性を重視した、昭和初期の近代建築でもあります。

雨の日に訪れた際は、石材の表面が雨に濡れて色が濃くなり、建物全体が落ち着いた雰囲気に包まれていました。
後日、晴れた朝にも訪れましたが、今度は本堂が逆光となり、外観の印象も大きく変わりました。

本堂の前に立つと、その大きさだけでなく、屋根の曲線や柱、階段の装飾など、細部まで工夫された建築であることが分かります。

入口を彩るステンドグラス

大階段を上がって本堂の入口へ進むと、扉の上部に色鮮やかなステンドグラスが見えてきます。

中央には蓮の花が描かれ、その周囲を葉や曲線的な植物模様が取り囲んでいます。
ステンドグラスというと西洋の教会を思い浮かべますが、ここでは仏教と関わりの深い蓮の花が意匠に取り入れられているのが特徴です。

入口には淡い色の柱が並び、濃い緑色の扉や吊り下げ式の照明が配置されています。
外観の石造りを思わせる重厚な印象とは異なり、入口周辺には明るく華やかな雰囲気が感じられました。

扉の上部には独特な曲線を描く装飾があり、足元には幾何学模様の床が広がっています。
本堂に入る前から、さまざまな意匠が組み合わされていることに気づかされます。

本堂内部|伝統的な内陣と華やかな天井装飾

本堂に入ると、外観から受ける印象とは異なり、正面には伝統的な浄土真宗の仏堂が広がっています。

中央の内陣には、ご本尊の阿弥陀如来が安置されています。
金色の柱や仏具が並ぶ荘厳な空間は、外観の異国情緒とは対照的で、日本の寺院らしさを感じる場所でした。

一方、内陣から視線を上げると、色彩豊かな装飾が目に入ります。
青や緑を基調とした柱上部の意匠や金色の彫刻が重なり、細部まで華やかに仕上げられています。

参拝者が座る外陣には太い白い柱が並び、その上には格子状に区切られた天井が広がっています。
天井から吊り下げられた大きな照明は、シャンデリアを思わせる多角形の形をしており、周囲には小さな灯りも配置されています。

白い柱、暗い色の天井、華やかな照明、そして金色に輝く内陣。
それぞれ異なる印象を持つ意匠が一つの空間に収まり、築地本願寺ならではの独特な雰囲気を生み出していました。

本堂後方に設置されたパイプオルガン

本堂の後方、入口付近の高い位置には、大きなパイプオルガンが左右に分かれて設置されています。

パイプが左右に並び、その中央には入口のステンドグラスが見えます。
仏堂の中にこれほど大きなパイプオルガンがあるとは、初めて訪れたときには驚きました。

築地本願寺に初めてパイプオルガンが設置されたのは1970年。仏教音楽の普及を目的として寄贈されたもので、長年にわたり演奏会などで使用されてきました。

2025年には二代目のパイプオルガンが設置されました。イタリアで製作され、2,566本のパイプを備えています。
正面のパイプは「南無阿弥陀仏」の六文字を表す六つの山形に配置され、仏教にちなんだ意匠が取り入れられています。

今回の見学では演奏を聴く機会はありませんでしたが、伝統的な仏堂に西洋の楽器が溶け込んでいる光景は、築地本願寺ならではの印象的なものでした。

階段や建物を飾る動物たちの彫刻

築地本願寺では、屋外だけでなく建物の内部にも、さまざまな動物の彫刻が見られます。

本堂へ続く屋外の大階段には、手すりの上に獅子のような動物が座っています。建物の重厚な外観に溶け込むように配置された、印象的な彫刻です。

一方、建物の内部にも動物の彫刻が点在しています。本堂の入口付近や下階へ続く階段の周辺などで、馬や牛、象、猿、鳥といった生き物の彫刻を見つけました。
石材を支えるような姿勢の猿など、動物ごとに姿や表情が異なり、細部まで工夫されています。

最初は十二支の動物が並んでいるのかと思いましたが、象や獅子のような動物も含まれており、十二支とは異なる組み合わせです。

設計者の伊東忠太は、動物や想像上の生き物を建築装飾に取り入れたことで知られています。築地本願寺でも、こうした彫刻が建物の随所に配置され、独特な世界観をつくり出しています。

一つひとつの彫刻はそれほど大きくありませんが、建物全体を眺めるだけでは気づかないものもあります。
本堂の壮大な外観だけでなく、建物の内外に目を向けると、また違った発見がある寺院でした。

雨に濡れた石畳の先に見える築地本願寺の正門と本堂
築地本願寺本堂の中央にそびえる曲線屋根と屋根上部の装飾
築地本願寺の大階段と手すりに置かれた動物の彫刻
築地本願寺本堂の入口に並ぶ扉と上部のステンドグラス
蓮の花と植物模様が描かれた築地本願寺入口のステンドグラス
白い柱が並び格子状の天井が広がる築地本願寺の本堂内部
阿弥陀如来を安置する築地本願寺の内陣と金色の仏具
築地本願寺の天井から吊り下げられた多角形の照明と色鮮やかな装飾
築地本願寺本堂後方の左右に設置されたパイプオルガン
築地本願寺の階段付近にある獅子のような動物と馬の彫刻
築地本願寺の柱の装飾として石材を支えるように配置された二匹の猿
長い鼻と牙が特徴的な築地本願寺の象の彫刻
築地本願寺の建物を飾る牛の彫刻
翼と尾羽を広げた築地本願寺の鳥の彫刻

⛩️ 築地で訪れた神社

同じ築地にある波除神社では、巨大な厄除天井大獅子とお歯黒獅子を参拝しました。境内にはすし塚や海老塚などの供養塚もあり、築地の歴史に触れることができました。

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