東京文化財ウィーク2026で、旧前田家本邸洋館の特別ガイド「屋根裏探検コース」に参加しました。
通常は立ち入ることのできない階段を上り、屋根裏の空間や塔屋にある養育係の部屋、当時の室内装飾を紹介する展示室を見学。
約15分の短いコースでしたが、普段の洋館見学とは違う一面を知ることができました。
屋根裏探検コースは大盛況!午後の回に参加
訪れたのは2026年10月31日。Eコース「屋根裏探検コース」は、通常非公開の階段から屋根裏、塔屋を案内する、土日祝限定・所要時間約15分の特別ガイドです。
午前10時過ぎに到着したところ、午前中の回はすでにすべて予約済み。
午後の予約受付は12時50分からの予定でしたが、混雑のため12時30分ごろから始まる可能性があると案内されました。
そこで、いったん駒場公園で時間を過ごし、12時30分ごろに受付へ戻ると、すでに長い列ができていました。それでも無事に午後の予約を確保できました。
当日は予想以上の盛況ぶりで、当初30分ごとに予定されていたガイドが15分間隔での開催に変更されていました。見学は往路と復路が同じため、限られた時間で屋根裏を巡り、元の場所へ戻る流れとなりました。
通常非公開の階段を上り、屋根裏へ
ツアーは洋館内の普段は立ち入れない扉から始まりました。
扉の先には幅の狭い階段が続いています。階段を上ると踊り場があり、さらにもう一度階段を上って屋根裏へ向かいました。
階段を上った先には木製の扉があり、その向こうには屋根の傾斜に沿って造られた空間が広がっていました。
屋根裏というと、天井が低く、かがんで歩くような場所を想像していましたが、実際には思っていた以上に高さがありました。
木製の壁や屋根を支える構造材が見える一方、天井付近には被覆材で覆われた太い設備も通っていました。普段見学する華やかな洋館の室内とは、まったく異なる雰囲気です。
塔屋にある養育係・八重野さんの部屋
屋根裏を進んだ先で案内されたのが、塔屋に設けられた養育係の女性が使用していた部屋です。
ガイドさんの説明によると、八重野さんは、もともと前田家のかかりつけ医のもとで看護師をしていた女性でした。
前田家の奥様が出産された後、病院を辞めて、お子さんたちの養育係になったそうです。
お子さんたちは八重野さんによく懐いており、この部屋へ遊びに来ることもあったため、おもちゃが置かれていたというお話もありました。
現在の部屋には家具やおもちゃはなく、窓が並ぶ明るい空間になっています。窓の外には木々が見え、屋根裏の通路とは違って、居室として使われていたことを感じさせる造りでした。
外観から見ると、この部屋は洋館の三角屋根を持つ塔屋に位置しています。普段は外から眺めていた建物の一角に、こうした部屋があったことを知ることができました。
屋外通路の先に見えた八角形の洗濯室
続いて案内されたのは、屋根に沿って延びる屋外通路です。
屋外通路の外側には低い壁が設けられていますが、転落防止の手すりとしては高さが十分ではないため、安全上の理由から外に出ることはできませんでした。
そのため、今回は扉越しに通路を眺める見学となりました。
通路の先には八角形の塔屋が見えます。ガイドさんによると、こちらは洗濯室として使われていた場所で、アイロンがけなども行われていたそうです。
洗濯室の内部は見学していませんが、屋根の上にこのような通路があり、塔屋が生活に必要な作業の場として使われていたことは意外でした。
屋根裏の展示室で見た当時のカーテンと修復資料
屋根裏には、旧前田家本邸で使われていた室内装飾や、建物の修復に関する資料を紹介する展示室も設けられていました。
ガイドさんによると、この部屋は戦後、GHQに接収されていた時期には映写室として使われていたそうです。
屋根の傾斜や構造材が見える室内には展示台が並び、当時のカーテンや装飾品などが紹介されていました。
部屋ごとに異なるカーテンの装飾
展示されていたのは、当時使われていたカーテンバランスやタッセルなどです。
カーテンバランスとは、カーテンレールなどを覆うように窓の上部に取り付ける布製の装飾のこと。
1階サロンのカーテンバランスは、青と褐色の2色使いで、バラのような植物や鳥の模様が施されていました。
長女居室のものは青い生地に金糸で紋章のような模様が刺繍され、縁には丸い房飾りが付いています。
また、小客室のものには紫色の生地にベージュの洋風花柄が使われていました。
部屋によって色彩や模様が大きく異なり、当時の洋館の室内がどのように飾られていたのかを想像できる展示でした。
部屋名入りのガラスプレートと修復資料
ほかにも、部屋名が記されたガラスプレートが展示されていました。
「美意子様」「小食堂」などの文字が確認でき、各室の呼び鈴に関係するプレートカバーではないかと考えられているそうです。取り外された状態で見つかったため、もともとどの場所に設置されていたのかは分かっていません。
寝室の壁紙の復元見本もありました。壁紙はすでに剥がされていましたが、修復工事中に見つかった断片と古写真をもとに、当初の姿に倣って復元したものです。
さらに、玄関車寄せ上部を飾っていた当初の石彫刻も展示されていました。
植物の芽をかたどったような形状で、傷んだ彫刻のうち損傷の少ない部分を3Dスキャンして模型を作り、それをもとに新しい石で彫り直したそうです。
華やかな室内装飾だけでなく、建物を保存するために行われた修復の工夫も知ることができました。
帰りの階段から見えた洋館の煙突
展示室の見学を終えると、来た道を戻って階段を下りました。
階段の踊り場には窓があり、そこから外を見ると、レンガ造りの高い煙突が見えました。
ガイドさんの説明では、洋館の地下には厨房やボイラーが設けられていたそうです。
洋館の見学では、どうしても応接室や食堂などの華やかな空間に目が向きますが、今回の屋根裏探検では、生活を支えていた部屋や設備にも触れることができました。
約15分という短い見学でしたが、養育係の部屋や洗濯室、当時のカーテンの展示など、普段の公開エリアとは違った旧前田家本邸の姿を知る機会となりました。
















🏛️ 旧前田家本邸の見学記
旧前田家本邸の洋館・和館の室内や、特別ガイドで見学した渡り廊下と和庭園についても、別の記事で紹介しています。
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旧前田家本邸・洋館をガイドツアーで見学
大食堂や応接室など、洋館の室内と装飾 -
旧前田家本邸・和館をガイドツアーで見学
御客間や2階の御居間、小座敷、茶室 -
旧前田家本邸の渡り廊下と和庭園を見学
通常非公開の渡り廊下や泰山タイルの壁泉、和庭園

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