数年前、志摩市浜島を通りかかった際に初めて知った「ビン玉ロード」。
昼間に見た時は、昔の漁で使われていたガラス製の浮きが並ぶ海辺の遊歩道という印象でした。
その後、夕暮れにオレンジ色の灯りをともすビン玉の写真を目にし、「あの場所がこんな景色になるんだ」と気になり、再び浜島へ。
夕焼けの余韻が残る海辺を歩きながら、昼間とは違うビン玉ロードの表情を楽しんできました。
昼間は何気なく通り過ぎたビン玉ロード
数年前、志摩市浜島を車で通りかかった時、海沿いの遊歩道に大きなガラス玉がたくさん飾られている場所が目に留まりました。
後でそれが「ビン玉」と呼ばれるもので、この遊歩道は「ビン玉ロード」という名前が付けられていることを知りました。
夫から「昔は漁で使う浮きとして使われていたガラス玉だよ」と教えてもらい、プラスチック製の浮きへと変わった今、使われなくなったビン玉を活用しているのだろうと思った程度で、その日は通り過ぎてしまいました。
昼間に見るビン玉は、どこか素朴で懐かしさは感じるものの、当時は特別印象に残る場所ではありませんでした。
夕暮れの景色を見たくて再訪
それからしばらく経ったある日、ビン玉ロードの日没後の写真を見る機会がありました。
昼間に見た何気ないガラス玉が、夕暮れになるとオレンジ色の灯りをまとい、とても幻想的な景色へと変わっていたのです。
「あの時に見た場所が、こんな表情を見せるんだ。」
そう思うと、今度は夕方から歩いてみたくなり、再び浜島を訪れることにしました。
ビン玉ロードの最寄りは三重交通バスの「浜島」バス停ですが、真夏は日没が午後7時頃になるため、ライトアップが始まる時間には帰りのバスがありません。 そのため今回は、夫に車を運転してもらい訪れることにしました。
予定より少し早く到着したため、日没まで30分以上あります。 昼間の暑さは和らぎ、海から吹く風も心地よく感じられました。
以前訪れた時には気付きませんでしたが、ビン玉をモチーフにしたモニュメントや「海ほたる」のモニュメントなどが新しく設置され、遊歩道も以前より親しみやすい雰囲気になっているように感じました。
それでも日没まではまだ時間があります。 そこで、近くにある「伊勢えび大王像」まで歩いてみることにしました。
ユーモラスな表情をした伊勢えび大王は、首にビン玉のネックレスを下げ、足元にもたくさんのビン玉が飾られています。 よく見ると、一つひとつが昔の漁で使われていたように網で丁寧に編み込まれていました。
使われなくなったビン玉を、浜島の歴史や漁師町らしさを伝えるシンボルとして大切に残していることが伝わり、再訪して初めて気付く魅力がありました。
夕焼けから夜へ変わるビン玉ロード
伊勢えび大王像を見学してビン玉ロードへ戻る頃には、旅館から家族連れの楽しそうな話し声が聞こえてきました。 前回訪れたのは冬の昼間だったため、どこか静かな印象を持っていましたが、夏の夕暮れは浜島の表情も随分違って見えます。
日没が近づくと、空はオレンジ色から灰色がかった青へとゆっくり色を変え、海もその色を映し出していました。 あまりの美しさに、気が付くと夫も夢中でカメラを向けています。 私だけでなく、夫も思わず写真を撮りたくなる景色だったようです。
やがて遊歩道のビン玉に優しい灯りがともり始めました。 訪れた日は、まだ辺りが少し明るい日没の頃になると灯りがともります。 暗さに反応して点灯するというより、タイマーで点灯しているようにも感じました。 暗闇を照らすイルミネーションというより、夕焼けの余韻に寄り添うような柔らかな光です。
近くの旅館に宿泊しているのでしょうか。 浴衣姿の家族連れがビン玉ロードを散策し、すれ違いざまに「こんばんは」と声を掛け合う光景も印象に残りました。 旅先ならではの穏やかな時間が流れていました。
歩いて初めて分かったビン玉ロードの魅力
実際に歩いてみて初めて気付いたこともありました。 壁にずらりと並んでいるビン玉は、すべてが光っているわけではありません。
よく見ると、光っているのは遊歩道沿いに設置された足元のビン玉だけで、壁側のビン玉はその灯りを受けて優しく反射していました。 昼間には気付かなかった工夫に、思わず足を止めて見入ってしまいました。
さらに足元を見ると、蛸壺の中にLED照明を入れて道を照らしている場所もあります。 漁師町らしい遊び心が感じられ、思わず笑みがこぼれました。
以前見た写真では、ビン玉がもっと明るく輝く場所なのだと思っていました。 しかし実際に歩いてみると、印象に残ったのはビン玉の灯りだけではなく、夕焼けの余韻や静かな海辺の景色でした。 ビン玉だけを眺める場所ではなく、浜島の夕暮れをゆっくり歩きながら楽しむ場所だったのだと感じました。
今回は夫が帰りたそうにしていたこともあり、真っ暗になるまで滞在することはできませんでした。 それでも、夕焼けの色が少しずつ夜へ溶け込んでいく時間と、ビン玉の優しい灯りが重なる景色を見ることができ、とても満足しています。
昼間は何気なく通り過ぎてしまったビン玉ロードでしたが、夕暮れに訪れてみると、その印象は大きく変わりました。 ビン玉の灯りだけではなく、夕焼けの余韻や潮風、旅館から聞こえる人々の声までが重なり合い、浜島らしい穏やかな時間を感じられる場所でした。 日没前後のわずかな時間だからこそ出会える景色を、ぜひゆっくり歩きながら楽しんでもらえたらと思います。
















🌊 志摩の海辺を歩く
夕暮れのビン玉ロードだけでなく、島の暮らしを感じた間崎島や、美しい海と石仏が残る御座など、志摩の海辺を歩いて出会った風景をまとめています。それぞれ違った表情を見せる志摩の魅力を楽しんでもらえたらと思います。

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