東京発ひとり旅|幻の鉄道路線をたどる──越美北線・九頭竜湖駅へ

北陸

東京から福井県・九頭竜湖駅へ。
2023年の夏、越美北線の“幻の延伸区間”をめぐるバスツアーに参加しました。かつて越美北線と長良川鉄道が一本でつながるはずだったその道のり。いまは線路の代わりに、想いと記憶をたどる旅となりました。


東京発、ひとり旅のはじまり

2023年7月。あるツアーに参加するために東京から福井県へ向かい、九頭竜線こと越美北線の終点「九頭竜湖駅」を目指しました。
……と言いたいところですが、実際には少し予定外の展開に。

当初は越美北線で集合場所となっていた、終点の九頭竜湖駅まで行くつもりでしたが、出発数日前の大雨で美山駅〜越前大野駅間の線路が被災。復旧工事のため不通となってしまいました。そのため、ツアーの集合場所は越前大野駅に変更となり、大野観光自動車さんのバスで九頭竜湖駅へ向かうことに。

次こそは電車に乗って九頭竜湖駅を訪れたい──そんな思いを抱きながらのスタートでした。


終着駅・九頭竜湖駅にて

バスに揺られて辿り着いた九頭竜湖駅。ホームはすっかりリニューアルされ、以前訪れたときに見かけた“時が止まったような広告”は姿を消し、かわいらしい恐竜や化石のモニュメントベンチが迎えてくれました。

山あいにひっそり佇む終着駅。列車の終点であり、旅人にとっての出発点でもあるような、不思議な静けさが漂っています。


幻の鉄道「越美線」をたどるバスツアー

今回参加したのは、「本当はつながるはずだった幻の越美北線をいくバスの旅」というツアー。
越美北線(福井側)と長良川鉄道(岐阜側)は、かつて「越美線」として一本でつながる計画がありました。

しかし、戦争や不況の影響で九頭竜湖〜北濃間の工事は中止に。その後しばらくはバス代行で運行されていましたが、2002年に廃止。以降、この区間を公共交通機関で行き来する手段はなくなりました。

そんな“幻の区間”をたどるバスツアーが、長良川鉄道の協力によって実現。歴史の断片をたどるような貴重な旅に胸が高鳴り、参加したのです。


時代の流れと複雑な気持ち

かつて鉄道が結ぶはずだったルートは、今では高速道路で繋がろうとしています。時代の変化を感じる一方で、鉄路に夢を託した人々の想いを思うと、どこか切なくもあります。

現在、この幻の区間はYouTuberたちが一部歩いて横断し、動画として発信している姿も多く見かけます。わざわざ足を運び、映像に残そうとする人が多いのは、それだけこの“未完の鉄道”に心惹かれる人が多いからなのでしょう。

この旅の続きを、次の記事で。


東京発ひとり旅|幻の鉄道路線をたどるシリーズ
▶ 前編:越美北線・九頭竜湖駅へ(現在の記事)
▶ 続編:越美北線から長良川鉄道へ──幻の鉄路をつなぐ“ながら”の旅(岐阜県)

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