金沢滞在中に足を延ばして訪れた福井県勝山市の「平泉寺白山神社」。
金沢駅で見かけた一枚の観光ポスターに心惹かれ、ついに訪れた神域は、苔が一面に広がる静寂の森のような場所でした。東京発ひとり旅の中でも、記憶に残る神秘的な体験です。
福井・勝山にある「平泉寺白山神社」へ
2023年6月。金沢滞在中に訪れたのは、福井県勝山市にある「平泉寺白山神社」。
以前から参拝したいと思っていた神社仏閣のひとつで、「寺」と「神社」の名が併記されていることにも惹かれていました。
訪問のきっかけは、金沢駅で見かけた観光ポスター。そこに映る一面の苔の美しさと、幻想的な光の差し込みに心を奪われたのです。
アクセスの道のりも小さな冒険
金沢駅から福井駅まではJR特急で向かい、福井駅からはえちぜん鉄道に乗り換えます。
終点・勝山駅で下車し、そこからコミュニティバスに乗車。勝山城博物館前で降りて、旧参道を右手に見ながら歩くと、やがて平泉寺白山神社の入口に到着します。
(ちなみに平日は神社前まで行くバスが1日数本しかなく、アクセスは少しハードル高めです。)
苔むす参道と、静寂に包まれた神域
森のような緑に包まれた旧参道を右に歩きはじめた瞬間から、空気が変わります。
鳥の声も遠く、木々で光が差し込まず、石段の苔の匂いと湿った空気が漂う――。
ゆるい登り坂の後、たどり着いた鳥居から先は、厳かな静けさの中に佇み、境内全体が柔らかな緑の絨毯に覆われています。
木漏れ日が苔の上を照らし、まるで時間が止まったかのような美しさでした。
熊鈴の音とともに歩く
鳥居手前で係の方に「熊鈴、持ってる?」と聞かれ、持っていないと答えると、「最近、奥のほうで熊が出たから」と鈴を貸してくれました。
「敷地の外には出ないように」との注意を受け、少し緊張しながらの参拝です。
熊鈴をチャリンチャリンと鳴らしながら歩く道は、静寂の中に自分の存在を確かめるような、不思議な安心感がありました。
旅の終わりに
往路は誰とも会わず、復路でようやく3組の参拝客とすれ違いました。皆さん熊鈴を持っていて、やはり自然の中を歩くには大切な装備なのだと実感。
無事に鳥居まで戻り、鈴を返却したとき、張りつめていた気持ちがふっとゆるみました。
この経験がきっかけで、以後の旅でも熊鈴を携帯するようになりました。
苔と静寂に包まれた平泉寺白山神社――自然と共に生きる土地の尊さを感じる、忘れがたいひとり旅の時間でした。


































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