福井県勝山市にある平泉寺白山神社を訪れたのは、2023年6月。
金沢駅で見かけた、一面の苔に覆われた境内の観光ポスターがきっかけでした。
金沢から電車とバスを乗り継いで向かい、途中で偶然歩くことになったのが、杉林の中に苔むした石畳が続く旧参道。
境内では熊が出たと聞き、複数の熊鈴を借りて三之宮まで参拝しました。
この記事では、苔に覆われた境内や御手洗池、二の鳥居、拝殿、本社、三之宮を、実際に歩いた順に紹介します。
福井・勝山にある「平泉寺白山神社」へ
金沢に滞在していたとき、福井県勝山市にある平泉寺白山神社を訪れました。
以前から気になっていたのが、「平泉寺」というお寺のような名前なのに「白山神社」と呼ばれていること。
お寺なのか神社なのか、なぜ両方の名前が一緒になっているのだろうと興味を持っていました。
実際に訪れてみようと思ったきっかけは、金沢駅で見かけた観光ポスターです。
杉の大木に囲まれ、一面を苔に覆われた境内の写真が印象に残り、金沢から足を延ばして向かうことにしました。
金沢から勝山へ|2023年6月当時のアクセス
この日は金沢駅を朝7時すぎに出発し、JR特急で福井駅へ。
福井駅からえちぜん鉄道に乗り換え、終点の勝山駅に到着したのは9時ごろでした。
訪れた2023年6月は、福井県立恐竜博物館がリニューアル工事のため休館中で、週末に運行されていた観光循環バス「ダイナゴン」も運休していました。
平泉寺方面へ向かうバスの本数も少なかったため、帰りの時間を気にしながらの参拝です。
勝山駅からはコミュニティバスに乗り、当初は勝山城博物館方面まで向かって、そこから平泉寺白山神社へ歩くつもりでした。
なお、バス路線や時刻は訪問時から変わっています。
これから訪れる場合は、現在の交通情報を確認してから向かうのがおすすめです。
バスを途中で降ろしてもらい、苔むした旧参道へ
コミュニティバスに乗る際、「平泉寺白山神社へ行くには、勝山城のバス停で降りればいいですよね?」と運転手さんに確認しました。
すると、勝山城まで行くと戻ることになるため、途中の神社に近い場所で降ろしてくださいました。
そこで偶然歩くことになったのが、平泉寺へ続く旧参道です。
これが、とても雰囲気のいい道でした。
杉林の中に苔むした石畳が続き、歩き始めてすぐに「ここを歩けてよかった」と思ったほどです。
もともと旧参道を歩く予定で来たわけではなく、運転手さんに途中で降ろしていただいたことで偶然出会った道でした。
平泉寺白山神社は苔に覆われた境内がよく知られていますが、私は境内へ向かうこの旧参道も、とても印象に残っています。
旧参道は菩提林(ぼだいばやし)と呼ばれる林の中を通り、石畳は約700メートル続きます。
平泉寺白山神社の公式案内によると、千年前から残る道で、1986(昭和61)年には「日本の道100選」に選ばれています。
時間に余裕があれば、平泉寺白山神社を訪れる際には境内だけでなく、この旧参道も歩いてみてほしい場所です。
帰りのバスを確認していたら、熊鈴を貸してもらう
旧参道を歩いて平泉寺白山神社まで上がってきたところで、まず確認したのが帰りのバスの時間でした。
本数が少なかったため、「平泉寺神社前」のバス停を探して時刻を確認しておきます。
そのとき、近くの「白山平泉寺歴史探遊館 まほろば」で清掃をしていた女性から声をかけられました。
「熊鈴、持ってる?」
持っていないと答えると、最近、境内の奥にある三之宮の裏で熊が出たとのこと。
さらに、三之宮より先へは進まず、右手にある発掘エリアのほうにも行かないようにと教えてもらいました。
そして貸してくださった熊鈴は、なぜか1個ではなく複数。
「一人なのに、こんなにたくさん?」と思いましたが、朝は人が少なく、一人で歩くならこれくらい持っていったほうがいいとのことでした。
帰りにここで返すことにして、いくつもの熊鈴をじゃらじゃらと鳴らしながら境内へ向かいます。
一の鳥居から御手洗池へ|「平泉寺」の名前の由来
一の鳥居をくぐって進むと、木立の中に小さな鳥居と池が見えてきます。
ここが御手洗池(みたらしのいけ)です。
御手洗池は、平泉寺の名前の由来となった場所。
かつて「平清水(ひらしみず)」と呼ばれていたことから、「平泉寺」という名前が生まれたとされています。
訪れる前から、「平泉寺」なのに「白山神社」なのはなぜだろうと思っていました。
その「平泉寺」という名前につながる場所を、実際に境内で見ることができました。
二の鳥居をくぐると、苔に覆われた境内が広がる
御手洗池から先へ進むと、屋根の付いた二の鳥居があります。
この鳥居は、神社の鳥居に仏教建築の要素を取り入れた「両部鳥居」と呼ばれる形式です。
中央には「白山三所大権現」と書かれた額が掲げられ、その額を守るために屋根が付けられています。
平泉寺は長い間、神と仏をともに信仰する神仏習合の地でした。
「平泉寺なのに白山神社?」と不思議に思っていた私にとって、二の鳥居はその歴史が形として残っている場所でした。
そして二の鳥居をくぐると、杉の大木の間に一面の苔が広がります。
金沢駅で見た観光ポスターで気になっていた景色を、ようやく実際に見ることができました。
深い緑の苔が地面を覆い、その間から杉の木がまっすぐに伸びています。
写真で見ていた以上にきれいで、ここまで来てよかったと思える景色でした。
ただ、この日は朝が早かったこともあり、ここまで歩いてきてもほかの参拝者にはまだ一人も会いません。
苔を眺めながらも、先ほど聞いた「三之宮の裏で熊が出た」という話が頭から離れず、借りた熊鈴をじゃらじゃらと鳴らしながら先へ進みました。
苔の先に建つ拝殿と本社へ
苔に覆われた境内を進んでいくと、正面に拝殿が見えてきます。
現在の拝殿は江戸時代に建てられたもので、正面には「中宮平泉寺」と書かれた額が掲げられています。
かつての拝殿は現在よりはるかに大きく、1574(天正2)年の一向一揆で焼失する前には、幅がおよそ83メートルもあったそうです。
拝殿のさらに奥にあるのが本社(御前峰御本社)です。
中央の本社を挟んで、向かって右に別山社、左に越南知社が並び、白山を構成する三つの山と神々を表しています。
苔の境内や杉の大木に目を奪われながら歩いていましたが、ここまで来ても往路ではほかの参拝者に会いませんでした。
聞こえる熊鈴の音は、自分が持っている鈴の音だけです。
さらに奥の三之宮へ|裏で熊が出たと聞いて緊張
本社からさらに奥へ進み、石段を上って三之宮へ向かいます。
まほろばの方から聞いていたのは、「最近、三之宮の裏で熊が出た」という話。
三之宮に近づくにつれて、その言葉がますます気になってきました。
しかも、ここまで誰とも会っていません。
借りた熊鈴をじゃらじゃら鳴らし、周囲を気にしながら歩いていきました。
ようやく三之宮に着いて参拝しようとしたものの、ここで困ったのが「目を閉じるのが怖い」ということでした。
普段はもう少し長く手を合わせているのですが、この日は「目を閉じている間に熊が近づいてきたら分からない」と気になってしまいます。
結局、目を開けたまま手を合わせ、いつもよりずっと短い参拝で、そそくさと引き返しました。
三之宮の裏からは白山へ向かう白山禅定道(越前禅定道)が続いています。
この日は先へ進まないよう教えてもらっていたため、三之宮を一番奥として来た道を戻りました。
三之宮から戻り、ようやく苔をゆっくり眺める
三之宮へ向かう途中には、納経所跡や楠木正成の供養塔などの史跡もあります。
ただ、このときは熊のことが気になっていて、ほとんど立ち止まらずに通り過ぎてしまいました。
三之宮で参拝を済ませると、そのまま来た道を戻ります。
熊が出たと聞いていた場所から離れていくにつれて、少しずつ気持ちにも余裕が出てきました。
本社や拝殿のあるあたりまで戻ると、ようやく周囲の景色を落ち着いて眺められるようになりました。
杉の大木の間を一面の苔が覆う景色は、やはり見事です。
金沢駅で見た観光ポスターがきっかけで訪れた場所でしたが、実際に歩いてみると、苔の境内だけでなく、そこへ続く旧参道も含めてとても印象に残る場所でした。
帰り道でようやく参拝者とすれ違う
往路では、旧参道から三之宮までほかの参拝者には一人も会いませんでした。
帰り道になって、ようやく3組ほどの方とすれ違います。
見ると、皆さん熊鈴を持っていました。
行きは自分の鈴の音しか聞こえなかったので、ほかの人の姿を見たときには少しほっとしました。
境内を出たあと、借りていた熊鈴をまほろばへ返却しました。
このときの経験がきっかけになり、帰ってから自分用の熊鈴を購入しました。
今では山や自然の多い場所を歩くときに持っていくようにしています。
なお、現在も「白山平泉寺歴史探遊館 まほろば」では熊鈴の貸し出しが行われています。
熊の出没状況などは変わるため、訪れる際は最新の情報を確認してから散策することをおすすめします。














⛩ 福井で訪れた歴史ある神社
福井県では、平泉寺白山神社のほかにも、歴史ある神社を訪れています。
苔むした参道や森の中に残る建築、細かな彫刻など、それぞれ異なる見どころがありました。


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