新白河駅からの帰り道。予定よりも早く駅に戻ったものの、外はすっかり夜。
せっかくならもう少し旅を楽しみたい──そう思い立って立ち寄ったのが、東北本線の黒磯駅でした。暗い駅前で偶然目にした柔らかな光。それは、「那須塩原市図書館みるる」との思いがけない出会いでした。
新白河駅まで戻ってきたものの、帰りの新幹線までにはまだ時間がありました。外は真っ暗で駅周辺を歩くには少し寂しい雰囲気。どうしようかと考えているうちに、ここまで来たなら、前々から気になっていた、「黒磯駅」に行ってみたくなり、思い切って行動に移しました。
黒磯駅に降り立つと、駅前は静まり返っていて人影もまばら。ところが、その暗闇の中にあたたかな光を放つ建物がひとつ。近づいてみると、それは「那須塩原市図書館みるる」でした。
外観はスタイリッシュでありながらどこか柔らかく、一歩中に入ると、木のぬくもりが広がる心地よい空間。館内にはカフェや展示スペース、テラスもあり、図書館というより“まちのリビング”のような雰囲気です。
この建物は「森のような空間」をコンセプトに設計されているそう。1階には「森のポケット」と呼ばれる大小さまざまな吹き抜けがあり、天井のルーバーからこもれびのような光が差し込みます。放射状に広がる本棚や格子の間仕切りが視線をやわらかく抜けさせ、館内全体に一体感を生んでいました。
本棚には印象的なフレーズがいくつも掲げられています。幾つか紹介すると…、
「あなたはこの世界に信頼と希望、そして愛を抱いてもよいのだ」
「季節の営みの、まことに律儀なことは、ときにこの世で唯一信頼に足るもののように思える」
そして、私の心に残ったのは――
「未来に思いを馳せる時、小さな祈りが混ざるのは歳をとるということなのだあと思った今年の夏でした」
静かな夜に読むその言葉は、まるで旅の終わりをやさしく包み込むようでした。
みるるで過ごした穏やかな時間のあと、那須塩原経由で帰京。偶然の寄り道が、思いがけず心を満たす時間になりました。
















訪問日:2025年10月25日(金)
🚉 午後の光と夜の灯りをめぐって ─ 新白河から那須塩原への小さな旅


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