【奥会津への小さな旅 Vol.1】塔のへつり ― 100万年の時が刻んだ奇岩の絶景

東北

山あいに息づく人の暮らし、やさしく流れる時間。
奥会津で出会った景色や想いを、4つの小さな旅の物語にしました。

👉 🌿 会津をめぐる、心の記憶 ― 奥会津の旅シリーズ
〜旅の始まりは、南会津郡にある国の天然記念物「塔のへつり」から〜


自然が刻んだ造形美を歩く

会津若松駅から会津鉄道に揺られて、向かうは「塔のへつり」。
大内宿にも行く予定のため、大内宿共通割引切符をJR会津若松駅内の観光案内所で買い、湯野上温泉駅↔️塔のへつり駅の往復切符は会津鉄道車両内で車掌さんから切符を購入しました。というのも、この駅は無人駅。ホームに降り立つと、静かで緑いっぱいの景色が広がっていました。

「へつり」とは、会津の方言で“川に迫った断崖”のこと。
塔のへつりは、百万年もの時をかけて川の流れや風雨が岩を削り、硬い部分だけが塔のように残った自然の彫刻です。高さ約70メートル、幅約100メートルの断崖が連なる景観はまさに圧巻。1943年には国の天然記念物にも指定されています。

駅から塔のへつりまでは徒歩5分ほど。途中、「熊の目撃情報」の看板を2度見て少し緊張しましたが、カバンの中の鈴を鳴らしながら歩いていると目の前に現れた光景は、そんな不安を忘れるほどの迫力と美しさ。長い年月をかけて川が削り出した断崖の造形は、自然が描いた芸術作品のよう。断崖には吊り橋が架かっており、エメラルドグリーンの川面と奇岩が織りなす景色を見下ろすと、思わず息をのみます。

対岸の遊歩道を歩くと、岩のくぼみの間から木漏れ日が差し込み、静かな時間が流れます。ここが大昔は海底だったということも知り、風の音とともに過ぎてきた時の流れを感じました──。また、秋にはこの岩々が紅葉に包まれると聞き、今度はぜひその季節に来たいなと思いました。

散策を終え駅に戻ると、次の列車まで30分以上。ホームのベンチには、さきほど一緒に下車した女性が静かに座っていて、なんだかそれだけで安心しました。自然の壮大さと、人のささやかなぬくもりを感じたひとときでした。

訪問日:2025年10月3日(金)
往路:東京🗼(東北新幹線)→ 郡山(磐越西線)→ 会津若松(会津鉄道)→ 塔のへつり
     ※この後は、大内宿に行くため、湯野上温泉に向かいます。

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