荻窪の住宅街にある大田黒公園では、入口のイチョウ並木から池を囲む日本庭園まで、歩くにつれて紅葉の色合いが変わっていきます。
荻窪駅から歩いて約10分。門をくぐると空高く伸びるイチョウ並木が続き、街中を歩いてきたばかりなのに空気が一変します。
さらに奥へ進むと、黄色と緑の景色から、赤や橙、黄、緑が入り混じる日本庭園へ。
池の周囲を歩きながら、その日に出会えた紅葉の色合いや、水面を泳ぐ錦鯉、紅葉の時期ならではの園内の様子を楽しみました。
この記事では、2025年11月下旬に歩いた大田黒公園の紅葉の様子を、荻窪駅からの道のりやライトアップ情報とあわせて紹介します。
荻窪駅から歩いて大田黒公園へ
2025年11月26日、紅葉を見に杉並区の大田黒公園を訪れました。
JR中央線・荻窪駅から大田黒公園までは徒歩約10分。飲食店やカフェの多い駅周辺から、住宅街へ入って歩いていきます。
その途中、思わず足を止めた建物がありました。
角地に建つ年季の入った大きな建物と、その上に掲げられた文字。最初は「グンヂッロ郊西」のように見えますが、右から読めば「西郊ロッヂング」です。
令和の東京の街中に右から読む文字がそのまま残っていることにも驚きましたが、そもそも私には「ロッヂング」という言葉自体に馴染みがありません。
ロッジなら知っているけれど、ロッヂングとは何だろう。
外観を見ても何の建物なのか分からず、気になって玄関のあたりまで見て回りました。
帰り道でもやはり気になって、もう一度建物を眺めることに。
帰宅後に調べてみると、ここは旅館「西郊」と集合住宅「西郊ロッヂング」。どちらも昭和初期に建てられた国の登録有形文化財でした。
大田黒公園へ向かう途中で、思いがけず出会った建物です。
門をくぐると空気が一変|黄金色のイチョウ並木
住宅街を歩いて大田黒公園の門をくぐると、空気が一変したように感じました。
目の前には、まっすぐ奥へ伸びる園路。
その両側には空高く伸びるイチョウが並び、この日は黄色く色づいた葉に、まだ緑を残した葉も混じっていました。
青空に黄色いイチョウが映え、足元にもたくさんの落ち葉。
黄色い葉が重なった上を歩くと、ふかふかとした感触があります。
つい先ほどまで荻窪の街中を歩いていたのに、門を境にまったく違う場所へ入ったようでした。
黄色の世界から錦に染まる日本庭園へ
イチョウ並木を抜けると芝生が広がり、その先には日本庭園が見えてきます。
ここから紅葉の色合いが変わりました。
入口では黄色と緑が中心だったのに、日本庭園では赤いモミジが主役になります。
とはいえ赤一色ではありません。
橙や黄色、まだ色づいていない緑も混ざり、まるで錦のような秋景色が広がっていました。
同じ公園の中を少し歩いただけなのに、黄金色のイチョウ並木とはまた違う紅葉の世界です。
池を一周|その日に出会えた紅葉と錦鯉
日本庭園では、池の周囲をぐるりと一周してみました。
歩いてみると、真っ赤になった木もあれば、黄色や橙、まだ緑を残している木もあり、すでに落葉が始まっている木もあります。
「あそこの木も色づいたら、もっときれいなのに」と思いながら眺めていたのですが、その木が赤くなる頃には、今きれいに色づいている別の木は落葉しているのかもしれません。
紅葉は、園内の木々が一斉に「せーの」で色づくわけではありません。
すべてがぴたりと揃う日を待つというより、その日に出会えた赤、橙、黄、緑の組み合わせを楽しむ。大田黒公園の紅葉は、そんな見方が似合うように感じました。
池では、水面に映る紅葉の中を錦鯉が泳いでいます。
園内の案内によると、この池には新潟県小千谷市の「錦鯉の里」から寄贈された錦鯉も放流されています。
以前、冬にも大田黒公園を訪れたことがあります。
花や紅葉の色が少ない冬の庭では、錦鯉の鮮やかな色が景色の中でよく映えていました。紅葉の中を泳ぐ姿を見ると、季節によって庭の中での見え方も変わるものだと感じます。
もうひとつ印象に残ったのが、水面に浮かぶ落ち葉です。
赤や黄色の落ちたばかりの葉が水面に浮かぶ様子もきれいだと思って見ていると、近くではスタッフの方が大きな網を使い、落ち葉を丁寧にすくっていました。
「きれいなのに、もう取ってしまうんだ」と少し不思議に思ったのですが、池を見渡すと古くなった葉がいつまでも水面に残っている様子はありません。
紅葉を楽しむ景色の裏側には、こうした日々の手入れもありました。
紅葉がきれいな場所には自然と人が集まる
普段は落ち着いた大田黒公園ですが、紅葉の時期は多くの人が訪れます。
私が訪れたのは14時ごろ。池の周囲でも、特に紅葉がきれいに重なって見える場所には、写真を撮る人が自然と集まっていました。
屋根のある休憩所付近から眺める池と、そのすぐ近くの石橋周辺では、赤、橙、黄、緑が重なる錦のような景色を撮ることができます。
皆さんきれいだと思う場所はやはり同じようで、そこには人が滞留。私もその中に加わって写真を撮りました。
人を入れずに撮影するのはなかなか難しく、14時を過ぎると撮る方向によっては逆光になる場所もありました。
次に紅葉の時期に訪れるなら、私はもう少し早い時間に歩いてみたいと思います。
昼間に訪れたら洋館にも立ち寄りたい
園内には、音楽評論家・大田黒元雄氏が仕事場として使用していた洋館も残されています。
昼間に訪れるなら、紅葉だけでなくこちらにも立ち寄ってみてほしい場所です。
大田黒公園の成り立ちや洋館については、荻外荘・角川庭園とあわせて巡った「荻窪三庭園」の記事で詳しく紹介しています。
イチョウ並木があり、芝生があり、その先には池を中心とした日本庭園。
秋には黄色の世界から、赤や橙、緑が入り混じる錦のような景色へと変わっていきます。
こうして園内を歩いていると忘れそうになりますが、ここは最初から公園として造られた場所ではなく、もともとは大田黒元雄氏の邸宅があった場所です。
自宅の庭でこれだけ四季の変化を楽しめたのかと思うと、なんとも贅沢です。
そして、その庭が失われず、今では公園として誰でも歩ける場所になっている。そう考えると、この景色を楽しめること自体がありがたく感じられました。
大田黒公園の紅葉ライトアップ|昼と夜は完全入れ替え
大田黒公園では、紅葉の時期に夜間ライトアップも行われています。
私が訪れた年は、昼間の通常開園と夜のライトアップは完全入れ替え制でした。
昼間は無料で入園できますが、通常開園終了後はいったん退園し、夜のライトアップは有料で改めて入園する形です。
ライトアップの開催期間や時間、料金は年によって異なります。
例年11月に入るとその年の開催情報が公表されるため、ライトアップを目的に訪れる場合は、杉並区などの最新情報を確認してから出かけるのがおすすめです。
夜は昼間以上に冷え込みます。
池の周囲には、板状の石を渡した欄干のない石橋もあります。昼間は足元もよく見えますが、ライトアップの時間帯は足元を確認しながら歩きたいところです。
園内の休憩場所と荻窪駅周辺の飲食店
園内には飲食店や売店はありませんが、自動販売機があり、ベンチや屋根のある休憩場所もあります。
また、車椅子やベビーカーで散策している方も何組か見かけました。
大きな高低差はありませんが、日本庭園には石橋などもあります。
一方、荻窪駅から大田黒公園までは徒歩約10分。
駅周辺や途中にはカフェやレストランなど多くの飲食店があるため、紅葉散策の前後に食事やお茶をする場所には困らない立地です。
アクセスと基本情報
大田黒公園
所在地:東京都杉並区荻窪3丁目
最寄り駅:JR中央線・東京メトロ丸ノ内線「荻窪駅」
徒歩:約10分
通常入園:無料
紅葉の色づきやライトアップの日程・料金などは年によって変わるため、訪問前に最新情報をご確認ください。









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