初めての秋田旅|新緑の角館散策と旅先での思いがけない出会い

角館・青柳家の門と新緑に包まれた武家屋敷 山・自然散策

初めて訪れた秋田県。どこかにビューーン!で大曲駅に行き先が決まり、途中下車したのがみちのくの小京都・角館でした。

武家屋敷と新緑の美しい町並みを楽しみにしていたのですが、観光案内所で聞いたのは「熊出没」の話。散策できる範囲まで指定されるという予想外のスタートになりました。

それでも武家屋敷通りの新緑に癒やされ、老舗醸造元で味噌や醤油に出会い、旅先で偶然出会った女性と神社へ向かい、最後はフルーツたっぷりのパフェでひと休み。少しほろ苦くも、人との出会いが印象に残る角館散策となりました。


初めての秋田へ。期待を胸に角館で途中下車

2026年6月。どこかにビューーン!の行き先が大曲駅に決まったとき、私は思わず「やった!」と思いました。

秋田県を訪れるのは今回が初めてです。

せっかくなら途中下車をしてみようと選んだのが角館でした。武家屋敷が残る歴史ある町並みと、新緑の美しい景色をのんびり歩いてみたいと思ったのです。

角館駅に降り立つと、JRの駅舎の隣には秋田内陸縦貫鉄道の小さな駅舎がありました。どこか懐かしい雰囲気のある佇まいに目を引かれ、思わず観光ガイドマップを手に取ります。

風光明媚な景色の中を走るローカル線のようで、「いつか乗ってみたいな」と新たな旅先候補がひとつ増えました。

観光案内所で聞いた熊出没情報

ところが、旅は予想外のスタートを迎えます。

観光案内所で地図をもらったところ、職員の方から「毎日のように熊の目撃情報があります」と説明を受けました。

さらにガイドマップにはマジックで歩いてよい道路が示され、「この道以外には入らないでください」と念押しされます。

楽しみにしていた桧木内川沿いの桜並木について尋ねても、「熊が出るので土手から眺めるだけにしてください」とのこと。

まさか歴史ある観光地で、熊を気にしながら歩くことになるとは思ってもいませんでした。

少し緊張した気持ちのまま散策を始めます。

新緑が美しい武家屋敷通りを歩く

そんな気持ちを和らげてくれたのが武家屋敷通りの景色でした。

道の両側に続く武家屋敷は、思っていた以上に緑に包まれていました。

塀の向こうから柏の葉や青もみじが枝を伸ばし、場所によっては葉が通りに垂れ下がるほどです。

新緑の中を歩いているだけで心が落ち着き、「ずっとこの景色を眺めていたい」と思うほどでした。

武家屋敷の黒板塀と鮮やかな緑の組み合わせは本当に美しく、江戸時代の人々もこうした春や初夏の景色を見ていたのだろうかと、不思議な気持ちになりました。

今回は青柳家と石黒家を見学しました。

特に印象に残ったのは石黒家です。見学前に約5分間の案内があり、屋敷の歴史や暮らしについて説明を聞いてから見学できるため、建物をただ眺めるだけでは気づかない魅力を知ることができました。

熊出没の看板を見て実感したこと

その後、桜並木駐車場へ向かい土手から川沿いの景色を眺めました。

土手には熊出没注意の看板が立っています。

観光案内所で聞いた話は大げさではなかったのだと、その看板を見て実感しました。

こんな町中に近い場所まで熊が来るのかという驚きとともに、市民生活や観光にも大きな影響を与えていることを改めて感じました。

偶然見つけた安藤醸造で味噌と醤油に出会う

少し気持ちが沈みかけていた私の気分を変えてくれたのが安藤醸造でした。

実は最初から訪問する予定ではありませんでした。

町を歩いていると、遠くから見ても存在感のある煉瓦造りの建物が目に入り、「あれは何だろう」と気になったのがきっかけです。

近づいてみると、嘉永6年創業の味噌・醤油の醸造元でした。

店内ではさまざまな味噌や醤油を試食できます。

地元産の米や大豆を使い、今でも杜氏が一桶ずつ発酵状態を確認しながら天然醸造を続けていることを知り、味だけでなく造り手の姿勢にも惹かれました。

試食コーナーにはお茶や椅子も用意されており、じっくり味を確かめながら選べるのも嬉しいところです。

味噌や醤油づくりへの愛情や誠実さが伝わってきて、気づけば夢中になって味見をしていました。

また、敷地内にある煉瓦造蔵座敷も見学しました。

明治時代に建てられた建物で、大規模な修理を行うことなく現在まで受け継がれているそうです。

祝言の場として使われてきた歴史を知り、写真を眺めながら130年以上続く家族の物語に思いを馳せました。

旅先で出会った女性と神明社へ

安藤醸造で味見をしていると、ひとり旅の女性がお店の方に神明社への道を尋ねているのが聞こえました。

実は私も行ってみたいと思っていた場所です。

ただ、観光案内所では「ひとりでは行かない方がいい」と言われていました。

少し迷いましたが、「もし行かれるなら一緒に行きませんか」と声をかけてみました。

すると快く応じてくださり、二人で向かうことになりました。

途中の道は本当に人通りが少なく、観光客の姿もありません。

「ひとりだったら絶対に歩かなかったですね」

そんな話をしながら歩きました。

途中で視界が悪くなったり森が深くなったら引き返そうと話し合いながら進みましたが、幸い無事に神明社へ到着。

長い階段を上りましたが、熊が気になってしまい、拝殿の前まで行かず少し離れた場所から参拝しました。

不思議な緊張感のある参拝でした。

安藤醸造まで一緒に戻ったあと、彼女は私にもおすすめしてくれたパフェのお店へ向かうことに。私はもう一度店内を見て回り、味噌や醤油を選んだり、蔵座敷を見学したりすることにしました。

試食を重ねながらお気に入りの味を選び、重くなる味噌や醤油は宅配便で送ることに。気づけば、熊への緊張で少し沈んでいた気持ちもすっかり和らいでいました。

フルーツたっぷりのパフェと旅の情報交換

安藤醸造をあとにして、先ほど彼女に教えてもらったフルーツパーラー角館さかい屋へ向かいました。

外観は喫茶店というより町の果物屋さんそのものです。

「本当にここだろうか」と思いながら近づくと、店の前には見覚えのある姿がありました。

神明社へ一緒に向かった、あの女性です。

店内は満席で順番待ち中とのことでした。

そのまま一緒に入店することになりました。

私はキウイデラックスパフェ、彼女はメロンパフェを注文。

フルーツがたっぷり使われていて、角館価格とも思える嬉しい内容です。

しかも果物によって器のデザインまで違っていて、「フルーツに合わせてコーディネートしているのかな」と思ったほど。

今日初めて会ったばかりなのに、お互いのパフェの写真を撮り合うという不思議で楽しい時間になりました。

彼女は数日前から乳頭温泉に滞在していたそうで、女性ひとりでも泊まれる宿や田沢湖周遊バスのことなど、次の秋田旅につながる情報もたくさん教えていただきました。

少しほろ苦くも心に残る角館散策

最後に新潮社記念文学館を訪れたあと、角館を後にしました。

町並みは美しく、新緑は想像以上でした。

一方で閉店した店舗や人通りの少ない場所も目につき、少し寂しさも感じます。

そして何より、熊出没による行動制限が今回の旅に大きな影響を与えました。

もし熊の心配がなければ、もっと自由に歩き回れたかもしれません。

それでも武家屋敷通りの新緑の美しさ、人との思いがけない出会い、そして丁寧に受け継がれる味噌や醤油づくりとの出会いは、この旅ならではの思い出です。

期待していた旅とは少し違う形になりましたが、新緑の美しさと人の温かさが心に残る、初めての秋田旅となりました。

角館駅の駅舎|初めての秋田旅の始まり
新緑に包まれた角館武家屋敷通り
人力車が行き交う新緑の角館武家屋敷通り
角館樺細工伝承館の入口
角館武家屋敷・青柳家の門
角館武家屋敷・青柳家の主屋
青柳家の入口に飾られた魔除けの猿頭骨
東北地方の民家の入口によく見られる魔除けとして飾られた猿頭骨
青柳家の赤い毛氈が敷かれた縁側
青柳家の庭から眺めた武家屋敷
青柳家に残る武家屋敷の室内
石黒家の吹き抜けと土間空間
石黒家の塀越しに見える大木のもみの木
石黒家に残る座敷
石黒家の室内から見た土間
石黒家の壁に映る美しい影
ガイドの説明を聞きながら見学すると、障子に映る影や細かな意匠にも自然と目が向きました。
石黒家の広縁と庭を望む座敷
土手から眺めた角館桧木内川堤の桜並木
熊出没のため、桜並木は土手から眺めるだけになりました。
安藤醸造本店と煉瓦造りの蔵座敷
安藤醸造の店内にある蔵
安藤醸造で味噌や醤油を試食できるコーナー
味噌や醤油をじっくり試食しながら好みの味を選べます。
安藤醸造の歴史ある煉瓦造蔵座敷の内装
角館・神明社の拝殿
杉木立に囲まれた角館・神明社の石段
フルーツパーラー角館さかい屋のキウイデラックスパフェ
今日出会ったばかりの旅人と、それぞれのパフェを撮り合った思い出の一枚
新潮社記念文学館にある「雪国」の文学碑
『雪国』の文学碑。新潮社と角館のつながりを知ることができました。

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