日本昔ばなしの世界へ──冬の五箇山・相倉と菅沼を歩く

アートと文化

金沢滞在中に訪れた世界遺産の合掌造り集落。
雪深い相倉と菅沼の里では、まるで日本昔ばなしのような冬景色が広がっていました。
静けさと温もりに包まれた、忘れられない五箇山の一日。


2022年12月27日。
この日は、世界遺産にも登録されている五箇山の「相倉合掌造り集落」と「菅沼合掌造り集落」を訪れました。数日前に庄川温泉郷へ行った際、城端駅から合掌造り集落へ向かう「世界遺産バス」の存在を知ったのがきっかけです。

金沢駅西口から南砺金沢線のローカルバスに乗って城端駅へ。そこから白川郷行きの世界遺産バスに乗り換え、最初の目的地「相倉口バス停」で下車しました。車窓から見える景色は次第に雪深くなり、ひとり旅の心細さを感じるほど。相倉口バス停に着くと、時刻表の下まで雪が積もっていましたが、道路はきちんと除雪されており、歩くことは問題ありません。

このバス停で降りたのは数人だけで、多くの乗客は終点の白川郷へ向かうようでした。
舗装された雪がある坂道を上がっていくと、目の前に相倉合掌造り集落の入口が見えてきます。山の中腹にある展望台への道では、スタッフの方々がスコップで一生懸命に除雪作業をしており、長靴や杖の貸し出しも行っていました。私は雪対策の装備をしていたので、そのままスタッフの後ろに続き展望台へ。

そこから見下ろす合掌造りの集落は、まるで日本昔ばなしの世界。
雪に覆われた茅葺き屋根と煙の上がる家々が並び、カラー写真なのにまるで水墨画のよう。冬の里山の静けさに包まれながら、しばしその風景を眺めていました。

展望台から戻り、集落を少し散策します。オフシーズンのためほとんどの店は閉まっていましたが、唯一開いていたお店で温かい飲み物をいただき、ほっと一息。次の目的地・菅沼集落へ向かうため再びバスに乗りました。

菅沼では、坂道を下って行くルートもありましたが、私はエレベーターで集落へ。
ここは相倉よりもさらに小規模で、飲食店は閉まっており、お土産屋さんが一軒だけ開いていました。静まり返った集落に雪がしんしんと降り積もり、まるで昔の日本にタイムスリップしたような感覚。真っ白な雪の中に佇む合掌造りの家々は息を呑む美しさでした。

観光地というよりも、どこか懐かしい原風景に触れたようなひととき。
相倉と菅沼、どちらもそれぞれの静けさと温もりがあり、雪の中で見る冬の合掌造りは格別でした。帰りは再びバスで城端駅へ戻り、少し駅周辺を散策してから金沢へ。
雪に包まれた五箇山の集落は、今も心に残る冬の原風景です。

後編の記事はこちら👇
越中の小京都・城端を歩く──雪の五箇山から続く旅 もあわせてどうぞ。

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