2023年6月。金沢駅から定期観光バス「わじま号」に乗って、能登の名所をめぐりました。
公共交通機関では訪れにくい輪島の朝市や白米千枚田、世界一長いベンチ、千里浜なぎさドライブウェイなどを巡る一日。
穏やかな海と緑の棚田の美しさに心を奪われたあの日の記憶。
いま、あらためて写真を見返すと、震災で失われた光景も多く、旅の記録がより大切なものに感じられます。
2023年6月。金沢駅から定期観光バス「わじま号」に乗って、能登の名所をめぐりました。公共交通機関では訪れにくい輪島の朝市や白米千枚田、世界一長いベンチ、千里浜なぎさドライブウェイなどを巡る一日。穏やかな海と緑の棚田の美しさに心を奪われたあの日の記憶を綴ります。
金沢駅から能登へ──定期観光バス「わじま号」で出発
金沢駅を出て、最初に訪れたのは輪島の朝市。地元の人々と観光客でにぎわう通りには、新鮮な魚介や干物、手作りの工芸品などが並び、輪島の暮らしが息づいていました。橋のそばにはNHKの朝ドラ『まれ』のモニュメントがあり、作品の舞台を感じながら散策。近くの重倉神社にも立ち寄り、静かに参拝しました。
白米千枚田の絶景
次に訪れたのは「白米千枚田(しろよねせんまいだ)」。晴天のもと、稲の緑と日本海の青、空の淡い水色が重なり合い、思わず息をのむような美しい景色が広がっていました。幾重にも連なる棚田がきらめき、自然と人の営みが調和するような静かな時間でした。
輪島キリコ会館と昼食
白米千枚田のあとは輪島キリコ会館へ。想像以上に大きく、高さのあるキリコの迫力に圧倒されました。昼食は温泉宿泊施設「ビュー・サンセット」で。近くにはワイナリーの建物も見えました。地元食材を使った料理を味わいながら、海風と光に包まれる贅沢なひととき。
帰路に見た“世界一長いベンチ”と千里浜なぎさドライブウェイ
帰り道では、「岸壁の母」という戦争歌の舞台となったエピソードを紹介してもらいながら、志賀町にある「世界一長いベンチ」で休憩。見渡す限り続く木製のベンチと、穏やかな海の水平線が印象的でした。そのあと、千里浜なぎさドライブウェイに向かい、砂で作られた砂像を見学。潮風が頬をなで、夕陽に染まる砂浜がどこか切なく感じられました。
あの日の風景を思い出して
2025年の今、写真を見返すと、この旅の光景の多くが失われてしまいました。震災の影響で、ビュー・サンセットは営業を終了し、輪島の朝市は焼失。白米千枚田も一部が崩れ、修復が進められています。
いつまでも変わらないと思っていた風景が、突然失われてしまう現実。その非情さとともに、あの日見た海や棚田の美しさが、より強く心に刻まれています。能登が再び、笑顔と光に包まれる日が来ることを願いながら、この旅の記録を残しておきたいと思います。


















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