子供の頃に家族で訪れた湯涌温泉。時を経て再び訪れた2022年の夏。懐かしい記憶とともに、金沢の夏の風物詩「氷室開き」と「氷室饅頭」に出会う穏やかな時間を過ごしました。
金沢の奥座敷・湯涌温泉で、氷室開きの翌日に出会った夏の風景とともに、その魅力をたどります。
懐かしい記憶をたどって、湯涌温泉へ再訪
2022年7月1日。父の介護で金沢に滞在していたある日、ふと子どもの頃の記憶が蘇りました。
家族で訪れた湯涌温泉。あの頃の風景をもう一度たどりたくなり、金沢の奥座敷と呼ばれる湯涌温泉を訪ねることにしました。
かつて存在していた「旧金沢江戸村」や「白雲楼ホテル」は、すでに姿を消しています。
それでも、この場所に流れる空気には、どこか懐かしさが残っていました。
かつての面影を残す白雲楼ホテルと旧金沢江戸村
「白雲楼ホテル」は昭和7年に開業し、当時は“東洋一”とも称された豪華なホテルでした。
北欧・南欧・日本の様式を取り入れた独特の建築で、本館玄関はフランク・ロイド・ライトの設計によるものとされています。
しかし1999年に倒産し、2006年に解体されました。
その隣にあった「旧金沢江戸村」も、ホテル解体に伴う整備で移転。
歴史的建造物は移築され、2010年に「金沢湯涌江戸村」として新たに整備されています。
開湯1300年の歴史を持つ静かな温泉街
湯涌温泉は金沢駅から車で約30分、バスで約50分ほどの山あいにある温泉地で、約1300年の歴史を持ちます。
現在は8軒ほどの宿が並び、落ち着いた雰囲気が漂う静かな温泉街です。
金沢駅兼六園口から「湯涌温泉」行きのバスに乗り、終点で下車。
街並みは変わりつつも、どこか昭和の面影を残していました。
氷室開きの翌日に訪れた湯涌の夏の風物詩
訪れたのは6月30日の「氷室開き」の翌日。
氷室開きとは、江戸時代に加賀藩から徳川家へ氷を献上した風習に由来する行事で、現在は無病息災を願う夏の風物詩として受け継がれています。
緑に囲まれた玉泉湖のほとりを歩きながら、氷が取り出された後の氷室を眺めました。
この玉泉湖は、かつて白雲楼ホテルの一部として造られた人工湖です。
静かな風景の中で、過去の記憶と現在の風景が重なり合い、時の流れをしみじみと感じる時間となりました。
新しく生まれ変わった金沢湯涌江戸村へ
その後、移転・整備された「金沢湯涌江戸村」を訪問。
移築された歴史的建造物は丁寧に保存され、かつての面影を感じながらも、新しい文化施設として生まれ変わっています。
過去と現在が共存する空間で、湯涌の歴史の流れを感じることができました。
竹久夢二ゆかりの金沢湯涌夢二館
続いて立ち寄ったのは「金沢湯涌夢二館」。
大正期の美人画家・竹久夢二が、恋人の彦乃とともに湯涌温泉に滞在したことにちなんで設立された美術館です。
館内には夢二の作品が展示されており、繊細でどこか儚い女性像の世界観に引き込まれ、暑さを忘れるほど静かな時間を過ごしました。
氷室饅頭に込められた金沢の夏の願い
帰りはバスで金沢市街地へ戻り、父が楽しみにしていた「氷室饅頭」を老舗和菓子店で購入しました。
金沢では毎年7月1日に氷室饅頭を食べ、無病息災を願う風習があります。
子どもの頃の記憶と現在の時間がゆるやかにつながり、心が温かくなる一日となりました。
変わっていく風景の中にも、変わらず受け継がれていく文化があることを実感した旅でした。
湯涌温泉へのアクセス
湯涌温泉へは、JR金沢駅からバスでアクセスできます。
金沢駅兼六園口(東口)7番のりばから「湯涌温泉行き」に乗車し、終点「湯涌温泉」で下車。所要時間は約40分です。


















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