雪に包まれた能登さくら駅で ─ 春を待つ小さな無人駅にて

冬の旅

白米千枚田を訪れた数日後、七尾線の車窓から見えた「能登さくら駅」に心惹かれ、どうしてもあの場所をこの目で見たくなりました。
冬の静けさに包まれた無人駅と、雪に埋もれた鹿島神社。
誰もいないホームに立ちながら、春に咲く桜を思い描いたひとり旅の記録です。


数日前に白米千枚田を訪れた時、七尾線の車窓からふと目に入った「能登さくら駅」。正式には能登鹿島駅というこの駅は、能登屈指の桜の名所として知られ、春にはホームが桜でピンク色に染まることから“能登さくら駅”と呼ばれています。
ピンク色の可愛い駅舎と、海に突き出た小さな森に鎮座する鹿島神社の景色がとても印象的で、どうしても訪れてみたくなり出かけました。

この駅で降りたのは私ひとり。あたりはしんと静まり返り、駅も無人です。
まずは神社へ向かおうと道に出ると、近くの住民の方が「除雪されてないから行けないかもしれないよ」と声をかけてくださいました。
それでも行けるところまでと思い歩き始めましたが、次第に雪が深くなり、どこが道でどこが用水路かもわからないほど。
鳥居の手前で雪の深さが膝を軽く越える高さになり、ここで無理をせず引き返すことにしました。

駅舎に戻ると、ピンクの駅舎には手作りのクッションや小さな飾りがあり、地域の方々の温もりを感じます。
電車を待つ間、この静かな冬景色の中で、春の桜に染まるホームを想像しながら過ごしました。

あの時は、年明け早々にあんなにも大きな地震が能登を襲うとは思いもしませんでした。
ニュースで被害の様子を知り、あの穏やかな駅や人々の暮らしを思い出しながら、心が深く痛みました。
再び春が訪れ、桜が咲く季節に“能登さくら駅”が笑顔に包まれますようにと、静かに祈りを込めた冬の日でした。

訪問日:2023年12月23日(土)
往路&復路:金澤滞在中のため、金沢(七尾線)↔️ 能登鹿島


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