伊勢神宮の別宮「伊雑宮(いざわのみや)」は、磯部の御神田を持つ唯一の別宮。これまでに何度か訪れている場所ですが、いずれも散策の延長のような、どこか“ふらりと立ち寄る参拝”でした。
けれど今回、あらためてゆっくりと歩いてみると、これまで見過ごしていたものや、後から知った見どころがいくつもあったことに気づきます。参拝のあとに立ち寄った「上之郷の石神」とあわせて、伊勢志摩の森の中に息づく、静かな祈りのかたちをたどる時間となりました。
静寂に包まれる、伊雑宮へ
2025年2月。伊勢志摩にある伊雑宮は、「いざわのみや」と呼ばれる伊勢神宮の別宮のひとつ。磯部の御神田を持つ唯一の別宮として知られています。
これまでに3度訪れている場所ですが、今回は夫の運転する車で、夫婦での再訪となりました。以前は電車で訪れ、時間に追われるような参拝でしたが、今回は時間を気にせず、ゆっくりと向き合うことができました。
伊雑宮は、境内自体はそれほど広くありません。それにも関わらず、広めの駐車場が整備されているのが印象的です。けれど参拝者は多くなく、訪れるたびに静かな空気の中で落ち着いて手を合わせることができます。
鳥居をくぐり、一歩足を踏み入れると、空気がすっと変わるのがわかります。派手さはなく、むしろ質素ともいえる佇まい。それでもどこか厳かで、伊勢神宮に通じるような凛とした空気が漂っています。
これまで何度も訪れているのに、今回初めて「巾着楠」という存在を後から知りました。大きな楠の木で、境内の見どころのひとつとのこと。
何度訪れても新しい発見がある場所なのだと感じ、次に訪れたときには探してみたいと思いました。
そして帰宅後、写真を見返していて気づきました。
「巾着楠」だと思っていなかった木が、しっかりと写真に残っていたのです。
その場では気づかずに通り過ぎていたのに、こうして後から見返して初めて意味を持つ──。
伊雑宮という場所は、そんなふうに、静かに記憶に残るものがあとから浮かび上がってくるような不思議さがあると感じました。
また、伊雑宮の御神田も印象に残る風景のひとつです。広く開けた土地の正面に鳥居が立つ光景は、素朴でありながらどこか特別なものに見え、不思議な感覚を覚えました。
※電車で訪れる場合、最寄りは上之郷駅。徒歩で向かうことができますが、信号のない横断歩道を渡る必要があります。その日は雨の影響もあってか、車がなかなか止まってくれず、少し渡りづらさを感じました。
志摩の三大石神「上之郷の石神」へ
伊雑宮の真北約350mほどの丘陵地に、「上之郷の石神」があります。伊雑宮から細い道をのぼっていくと、「志摩の三大石神 上之郷の石神」と刻まれた石標と白木の鳥居が見えてきました。
道路沿いの鳥居をくぐり、下り坂の参道を少し歩くと、まわりを注連縄で囲まれた円形の平地にたどり着きます。
そこには、社殿はなく、しめ縄が掛けられた磐座が六体。そのほかにも地面から顔を出す大きな石がいくつかあり、静かに祀られていました。
人工的な建物がない分、場所そのものが信仰の対象であることが伝わってきます。人の気配もほとんどなく、山の中にぽつりと存在するその空間は、まるで時間が止まったような静けさに包まれていました。
志摩には石神信仰が多く残っており、相差や横山などにも石神が点在しています。この場所もまた、そうした古くからの祈りのかたちが今も大切に守られている場所なのだと感じました。
華やかさはありませんが、だからこそ、土地に根付いた信仰の深さが静かに伝わってくる場所でした。
まとめ
伊雑宮と上之郷の石神──どちらも観光地としての派手さはありませんが、その分、静けさの中で自分と向き合えるような時間が流れていました。
何度訪れても、少しずつ違う表情を見せてくれる伊雑宮。そして、ひっそりと祀られる石神の存在。
伊勢志摩の森の中に息づく、素朴で静かな祈りのかたちに触れた一日となりました。







📖 伊勢志摩で出会った、自然に宿る祈りの記録
森の中に佇む神域や、海とともにある信仰のかたち。
伊勢志摩では、自然そのものに祈りが重ねられてきた場所に、いくつも出会いました。
静けさの中で心に残った、他の参拝の記録もあわせてご紹介します。


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